HOKUTO編集部
5ヶ月前

2025年7月3~14日に、 乳腺外科・腫瘍内科のHOKUTO医師会員を対象に乳癌遺伝子検査としての 「オンコタイプDXの実施方針について」 のアンケートを実施しました。 その結果、 80人 (乳腺外科 : 64人、 腫瘍内科 : 16人) から回答が得られました。 設問に対する回答は以下のような結果となりました。

全体では、 「よく実施」 が18%、 「しばしば実施」 が25%、 「たまに実施」 が26%であり、 「全く~ほぼ実施しない」 は24%にとどまりました。 診療科別では、 乳腺外科は腫瘍内科と比べ、 オンコタイプDXの実施頻度が高くなりました。

年代が高いほど、 オンコタイプDXの実施頻度が高くなりました。

ご回答いただきました先生方、 誠にありがとうございました。 今回も非常に興味深い結果となりました。
まず背景情報ですが、 閉経前ホルモン受容体 (HR) 陽性・HER2陰性乳癌でリンパ節転移が陽性の場合に、 術後内分泌療法への化学療法の上乗せ効果があるかどうか、 その効果予測としてオンコタイプDXが有用かを検証した試験が第Ⅲ相RxPONDER試験¹⁾ になります。 同試験の結果、 再発スコアの数値にかかわらず、 閉経前では術後化学療法の上乗せ効果があることが示されました。 したがって、 オンコタイプDXは実施せず、 全例で術後化学療法を行う、 という意見が多数派かと想定していました。
一方、 他試験の結果やサブグループ解析などから、 リンパ節転移陽性閉経前早期乳癌の術後に必要なのは、 化学療法そのものではなく、 卵巣機能抑制なのではないかとも考えられております。 そのため、 閉経前リンパ節転移陽性例は術後化学療法を第一選択とは考えるものの、 その上で化学療法省略を希望される患者さんの場合には、 臨床病理学的因子に加えてオンコタイプDXで再発リスクを評価し、 総合的に術後化学療法の省略を判断することが検討されます。
今回のアンケートでは、 腫瘍内科より乳腺外科、 また年齢が高い先生方の方が、 オンコタイプDXをより実施される傾向にあるようでした。 自由記載欄には、 「リンパ節転移が1個でGrade1などリスクが低い場合 (に実施する)」 というご意見があった一方で、 「化学療法を上乗せするか迷う場合」 「患者希望がある場合」、 さらには 「閉経後と同様に広く実施」 というご意見もありました。 オンコタイプDXは、 RxPONDER試験の結果だけではなく、 臨床病理学的因子を詳細に検討し、 患者さんとのShared Dicision Making (SDM) の材料として広く活用されていることが示唆されました。
現在、 このような患者さんを対象とした卵巣機能抑制+アロマターゼ阻害薬 vs. 卵巣機能抑制+アロマターゼ阻害薬+化学療法を評価するNRG-BR009試験が米国を中心に進行中です。 また、 術前ホルモン療法を用いたレスポンスガイドの有用性を評価するJCOG2402試験が今後開始予定であり、 さらなる治療の最適化を目指した開発が期待されます。
出典
1) N Engl J Med. 2021 Dec 16;385(25):2336-2347.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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