海外ジャーナルクラブ
10日前

横浜市立大学附属病院乳腺外科の押正徳氏らの研究グループは、 がんゲノム情報管理センター (C-CAT) データベースに登録された乳癌患者において、 胚細胞系列と体細胞のBRCA変異の状態で分類した4群の違いを検討した。 その結果、 胚細胞系列および体細胞BRCA変異の組み合わせによって定義した各群は、 乳癌において異なるゲノム学的特徴および臨床的特徴を示した。 研究結果はESMO Open誌において発表された。
治療効果はリアルワールド指標であるTTD (Time to Treatment Discontinuation) で評価しており、 毒性や患者希望、 治療順序の影響を受ける可能性があります。
包括的ゲノムプロファイリング (CGP) の普及により、 乳癌でBRCA変異が同定される機会が増えている。 胚細胞系列BRCA変異は生物学的・臨床的な意義が確立している一方で、 体細胞BRCA変異の意義は明らかでない。
対象はC-CATデータベースに登録された乳癌5,411例のうち、 胚細胞系列 (g) と体細胞 (s) のBRCA変異の状態がいずれも判明していた2,978例であった。 患者はg+/s+、 g+/s-、 g-/s+、 g-/s-の4群に分類された。
評価項目は変異プロファイル、 相同組換え修復欠損 (HRD) 関連変異、 検体の採取部位、 治療中止までの期間 (TTD) だった。 解析は主に、 ER陽性HER2陰性乳癌とトリプルネガティブ乳癌 (TNBC) を対象として行なった。
g-/s+腫瘍は、 g+/s+腫瘍より高頻度に認められ、 胚細胞系列と体細胞のBRCA変異状態の一致は低かった。 体細胞BRCA変異は転移巣由来の検体での検出頻度が高かった。
ゲノム学的には、 g-/s+腫瘍はPIK3CAやTP53を含む発癌シグナル関連変異が豊富であった。 一方、 g+/s+腫瘍はBRCA変異が主体のHRD関連の特徴を示した。 BRCA以外のHRD関連変異はg-/s+腫瘍で最も高頻度であった (52%、 p=0.004)。
ER陽性HER2陰性乳癌では、 胚細胞系列BRCA変異陽性はCDK4/6阻害薬のTTD短縮と関連し、 g+/s+はCDK4/6阻害薬のTTD短縮と独立して関連した (HR 1.3、 p<0.001)。 一方、 g-/s+腫瘍のTTDは、 g-/s-腫瘍と同程度であった。
TNBCでは、 免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) の治療成績とBRCA変異の状態との関連は認められなかった。
著者らは、 「体細胞BRCA変異を単独で評価するのではなく、 胚細胞系列BRCA変異の有無や、 併存するゲノム異常と併せて評価する必要がある」 と結論づけている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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