海外ジャーナルクラブ
7ヶ月前
Fernandez-Martinezらは、 ERBB2/HER2陽性早期乳癌患者を対象に、 病理学的完全奏効 (pCR) および無イベント生存 (EFS) の定量的関連を内因性サブタイプおよび他の遺伝子発現シグネチャー別に後ろ向き統合解析で検討した。 その結果、 ERBB2-enriched型およびbasal-like型においてはpCRがEFSと関連したが、 Luminal A型およびB型では関連しないことが示唆された。 本研究は、 JAMA Oncol誌において発表された。
第Ⅲ相試験が複数存在する領域においては、 本研究のような後ろ向き統合解析が可能となるだけでなく、 大きな臨床的な意義を持ちます。
ERBB2/HER2陽性の早期乳癌において、 患者の生物学的特徴が術前化学療法およびERBB2/HER2遮断療法後のpCRおよびEFSに影響を及ぼす可能性が示唆されている。
3件の第Ⅲ相臨床試験の後ろ向き統合解析
ERBB2/HER2陽性早期乳癌患者 : 1,289例
化学療法+トラスツズマブ、 ラパチニブまたは2剤併用療法 (トラスツズマブ+ラパチニブ) を実施
臨床変数および遺伝子発現バイオマーカーとpCRおよびEFSとの関連を、 ロジスティック回帰およびCox解析により検討した。
ERBB2-enriched型およびbasal-like型においてはpCRがEFSと関連したが、 Luminal A型およびB型では関連しなかった。
ERBB2-enriched型
HR 0.45 (95%CI 0.29-0.70、 p<0.001)
basal-like型
HR 0.19 (同0.04-0.86、 p=0.03)
ERBB2-enriched型においては、 トラスツズマブ単剤に比べ、 2剤併用療法の有意に独立したEFSの便益が示された。
遺伝子発現シグネチャー618個のうち44.5% (275個) がpCR、 1.5% (9個) がEFSと有意に関連した。
Luminal関連シグネチャーは、 特に残存病変のある患者において、 ホルモン受容体の状態とは無関係にpCRの低下およびEFSの向上と関連した。
著者らは、 「ERBB2/HER2陽性の早期乳癌患者におけるpCRおよびEFSの関連は、 腫瘍の内因性サブタイプによって異なることが確認された。 特に、 トラスツズマブ+ラパチニブによる2剤併用療法の有益性はERBB2-enriched型に限定されていた。 免疫活性化シグネチャーはより高いpCRおよびより良好なEFSと一致して関連していたが、 Luminal関連シグネチャーはより低いpCRと関連していた」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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