メイヨークリニック感染症科 松尾貴公
10ヶ月前
肝脾カンジダ症 (慢性播種性カンジダ症; Hepatosplenic candidiasis) について、聖路加国際病院/MDアンダーソンがんセンター感染症科の松尾貴公先生にご解説いただきます。
以下がリスク因子として知られている¹⁾。
慢性播種性カンジダ症の正確な病態は不明で、 急性播種性カンジダ症と病態や特徴が異なる。
門脈系で最も大きな侵襲を受け、 著しい肝浸潤を引き起こすことがある¹⁾。
病理組織学的所見で肉芽腫性炎症がみられることが報告されており、 発症における宿主免疫反応の関与が指摘されている²⁾。
好中球が回復したばかり (2週間以内) の血液腫瘍患者で生じることが多いが、 回復後数ヵ月まで遅れて発症することもある³⁾。
発熱、 右上腹部圧痛、 肝腫大、 脾腫大、 嘔気、 嘔吐、 食欲不振などがみられる。
病歴、 肝機能 (特にALP) の上昇、 および肝臓および/または脾臓に低吸収結節性病変を示す画像所見で臨床的に疑う
ALPの上昇が特徴的である¹⁾
AST、 ALT、 Bil上昇が見られることもある
血液培養は陰性であることが多い
造影CTで周辺が二重リングで覆われ中心部に造影効果を示す「Target sign」 を認めることがある
CTで診断できない場合はMRIが考慮される⁴⁾
原疾患による血小板減少を合併することも多く肝生検が行われることは稀であるが、 肉芽腫がみられることが多い。 その他には炎症反応を伴う壊死 (好中球減少時)、 微小膿瘍 (好中球回復後) みられることもある²⁾
エキノキャンディンを中心とした抗真菌療法を開始し、 臨床的な改善があればフルコナゾールへの切り替えを検討する。 上述のようにカンジダの種類が同定できないことが多いこと、 またエキノキャンディンやフルコナゾール耐性の非C. albicansの報告も増加しているため、 上記治療を継続できるかどうかは臨床的に慎重に判断することが必要である
発熱が持続する患者では免疫再構成症候群の病態を考慮し、ステロイドを使用することがある⁶⁾
治療期間に関してはフォローの画像所見で所見の改善がみられるか石灰化を認めるまで継続することが必要であり、 通常約6ヵ月程度必要であることも多い⁷⁾
レジデントのためのビジネススキル・マナー
医師として成功の一歩を踏み出す仕事術55
本書では自分が失敗から学んできた社会人としての院内・院外で必要なマナーや、医師としての心得、自己成長を成し遂げていくために必要な仕事術を解説していきます。特に若手医師の皆さんにこれらを少しでも早い段階で共有することにより、医師としてのキャリアを成功させるためのお手伝いが少しでもできれば幸いです。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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