海外ジャーナルクラブ
9ヶ月前
Wagenlehnerらは、 単純性尿路感染症の女性患者に対する新規経口抗菌薬gepotidacinの有効性および安全性をnitrofurantoin(日本未承認)を対照に無作為化二重盲検実薬対照第Ⅲ相非劣性試験EAGLE-2、 EAGLE-3で比較した。 その結果、 gepotidacinはnitrofurantoinと比較し、 治療成功率に関して非劣性 (EAGLE-2試験) および優越性 (EAGLE-3試験) が示された。 本研究はLancet誌において発表された。
現在のファーストラインの薬剤が、 それぞれ腎機能障害 (nitrofurantoin)、 耐性 (ST合剤),低い効果 (fosfomycin)、 低い汎用性 (pivmecillinam) で制限があるため今回のgepotidacinに対する期待が大きいようです。
Gepotidacinは、 新規の作用機序を持つトリアザアセナフチレン骨格の抗菌薬で、 細菌のDNA複製を阻害し、 2つの異なるⅡ型トポイソメラーゼ酵素をバランスよく阻害する。
単純性尿路感染症の女性患者
患者を以下の群に1 : 1の割合で割り付けた。
治療開始10~13日後の治癒判定のための来院 (TOC) 時における治療成功 (細菌学的消失と臨床的消失の複合)
中間解析の結果、 両試験は有効性に関して中止された。 したがって、 本試験の主要解析集団には、 中間解析のデータカットオフの時点でTOC来院の条件を満たしたか、 TOC来院までに治療効果が得られなかったことが判明した患者のみが含まれた。
EAGLE-2試験における治療成功率
補正後群間差 : 4.3%ポイント (95%CI -3.6-12.1%ポイント)
EAGLE-3試験における治療成功率
補正後群間差 : 14.6%ポイント (95%CI 6.4-22.8%ポイント)
主な有害事象
Gepotidacin群で最も多くみられたのは下痢であった。
Nitrofurantoin群で最も多くみられたのは悪心であった。
症例のほとんどは軽度または中等度であり、 生命を脅かしたり致死的な事象は発生しなかった。
Gepotidacinは有効な経口抗生物質であり、 安全性と忍容性のプロファイルは許容範囲内であった。 同薬は、臨床的に重要な薬剤耐性表現型を含む一般的な尿路病原体に対して有効なファースト・イン・クラスの経口抗菌薬として、 患者に大きな利益をもたらす可能性がある。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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