海外ジャーナルクラブ
6ヶ月前
Chenらは、 高リスクの非転移性乳癌患者を対象に、 術後療法としてのアスピリンの連日投与が乳癌再発リスクおよび生存率に与える影響を第Ⅲ相プラセボ対照二重盲検無作為化比較試験Alliance A011502で検討した。 その結果、 アスピリンの連日投与は乳癌の再発リスクおよび生存率を改善しないことが示された。 本研究は、 JAMA誌において報告された。
アスピリン神話の崩壊というと大袈裟ですが、 それだけアスピリンにpositiveな期待を抱いている医師が多いです。 今回の研究結果を心の眼でもしっかりと事実として受け止めることができるかどうかが試されます。
癌生存者を対象とした観察研究や心血管疾患を対象としたアスピリンの前向き試験では、 アスピリン使用者において乳癌生存率が改善することが示唆されているが、 乳癌再発予防を目的としたアスピリンの前向き研究は不足している。
高リスクの非転移性乳癌患者 : 3,020例
患者を以下の群に1 : 1の割合で無作為に割り付けた。
無浸潤疾患生存期間 (iDFS)
3,020例が登録された時点で、 iDFSのHRが事前に規定された無効の境界値を超えたため、 最初の中間解析の時点で試験中止が勧告された。
iDFSイベント
追跡期間中央値33.8ヵ月 (範囲 0.1-72.6ヵ月) までに253件のiDFSイベントが確認された。
HR 1.27 (95%CI 0.99-1.63、 p=0.06)
iDFSイベントのうち、 死亡、 浸潤性進行 (遠隔、 局所領域)、 新規の原発イベントは、 アスピリン群で多かったが、 統計学的に有意差はなかった。
全生存期間 (OS)
両群間に有意差はなかった。
HR 1.19 (95%CI 0.82-1.72、 p=0.36)
Grade3/4の有害事象の発現率
両群でほぼ同等であった。
著者らは、 「高リスクの非転移性乳癌患者において、 術後療法としてのアスピリン連日投与は、 乳癌の再発リスクおよび生存率を改善しなかった。 アスピリンは乳癌の術後療法として推奨されるべきではない」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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