海外ジャーナルクラブ
10ヶ月前

Chenらは、 進行膵癌の1次治療に用いるゲムシタビン/nab-パクリタキセル (Gem/Nab) への抗IL-6抗体トシリズマブ (Toc) 併用の有効性を第II相無作為化比較試験で検討した。 その結果、 Toc併用により6ヵ月時点のOS率は有意な改善を示さなかったものの、 18ヵ月時点のOS率と筋肉量減少の抑制に改善が認められた。 試験結果はJ Clin Oncol誌に発表された。
「the optimal dosing regimen for Toc in patients with cancer, particularly those with PC remains uncertain, as the pharmacokinetics and pharmacodynamics in this population may differ from other settings」 と書かれており、 研究デザイン自体が難しい印象です。
薬剤情報
アクテムラ点滴静注用80mg / 200mg / 400mg
🔢ツール
進行膵癌の多くは化学療法に対して抵抗性である。 多くの患者で診断1年以内に病勢進行がみられ、 悪液質を伴う。
前臨床モデルにおいて抗IL-6抗体Tocの抗腫瘍効果および悪液質に対する抑制効果が示唆された。 また、 Gem/Nab抵抗性の転移性前立腺癌患者10例を対象とした第Ⅰ相試験では、 TocとGem/Nab併用による病勢コントロール率 (DCR) は80%であり、 4例が腫瘍縮小を達成した¹⁾。
そこで、 進行膵癌の1次治療としてGem/NabにTocを併用した場合の有効性を第II相無作為化比較試験で検討した。
安全性コホートでは、 Gem 1,000mg/m²とNab 125mg/m²を1日目、 8日目、 15日目に投与し、 Toc 8mg/kgを28日サイクルごとに1日目に投与した。
修正グラスゴー予後スコア (mGPS) が1または2の患者147例が以下の2群に1 : 1で割り付けられた。
主要評価項目は6ヵ月時点のOS率であった。
副次評価項目は無増悪生存 (PFS) 率、 全奏効率 (ORR)、 安全性、 探索的評価項目は悪液質、 QOL、 および悪液質を促進するタンパク質である増殖分化因子15 (GDF-15) を含むバイオマーカーであった。
追跡期間中央値は8.1ヵ月 (四分位範囲 4.2-13.9ヵ月) であった。
主要評価項目である6ヵ月時のOS率は、 Toc併用群と非併用群で有意差が認められなかった (68.6% [95%CI 56.3-78.1%] vs 62.0%[95%CI 49.6-72.1%]、 p=0.409)。 一方で、 18ヵ月時において、 Toc併用群でOSの改善が示された (27.1% vs 7.0%、 p=0.001)。
OS、 PFS、 ORRの中央値に両群で差は認められなかった。
Toc併用群は非併用群と比べて筋肉量減少を抑制し、 2ヵ月時の変化中央値は+0.1013% vs -3.430% (p=0.0012)、 4ヵ月時の変化中央値は+0.7044% vs -3.353% (p=0.036) であった。
また筋肉量減少の発生率は、Toc併用群と非併用群でそれぞれ、 2ヵ月時で43.48% vs 73.52% (p=0.0045)、 4ヵ月時で41.82% vs 68.75% (p=0.0062) であった。
GDF15はToc併用の有無で変化がみられなかった。
Grade 3以上の治療関連有害事象 (TRAE) 発現率は、 Toc併用群が88.1%、 非併用群が63.4%であった (p<0.001)。
著者らは 「Toc併用は、 主要評価項目が達成できずTRAEも増加したが、 18ヵ月時点のOS率と筋肉量減少の抑制に改善が認められ、 IL-6シグナル伝達阻害の悪液質に対する効果が示唆された。 今後の詳細な研究により、 この結果を適切な悪液質治療に活用できる可能性がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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