海外ジャーナルクラブ
11日前
Schenkerらは、 腫瘍変異負荷の高い(TMB-H)進行または転移性の固形癌を対象に、 抗PD-1抗体ニボルマブ+抗CTLA-4抗体イピリムマブまたはニボルマブ単剤療法の有効性について、 第Ⅱ相非盲検無作為化比較試験CheckMate 848で検討した。 その結果、 TMBに基づく治療効果の差が明らかとなった。 本研究はJ Immunother Cancerにて発表された。
TMB-H患者がせいぜい15%程度であるため腫瘍別の研究は難しく、 今回のような固形癌全般研究(pan-tumor study)にならざるをえないのがlimitationです。
dMMR局所進行結腸癌、 術前ニボルマブ+イピリムマブが著効
転移性尿路上皮癌へのニボルマブ+高用量イピリムマブの効果は?
【CheckMate 9DW】未治療進行肝細胞癌へのニボルマブ+イピリムマブでOS改善
免疫チェックポイント阻害薬治療は、 複数の腫瘍型において全生存期間 (OS) の延長効果を示している。
TMBは、 免疫療法に対する反応性を予測するバイオマーカーであり、 本研究では腫瘍組織を基にしたTMB (tTMB) または血中循環腫瘍DNAを基にしたTMB (bTMB) のいずれかを用いて、 TMBの状態に基づいた複数の腫瘍型におけるニボルマブ+イピリムマブ併用の有効性を評価した。
腫瘍組織またはctDNAにおいてTMBが高値*を示し (tTMB-H/bTMB-H)、 過去に免疫療法を受けた経験がなく、 標準治療に抵抗性を示した患者201例を対象とした。
患者はニボルマブ+イピリムマブ併用療法群またはニボルマブ単剤療法群に2 : 1の割合で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は、ニボルマブ+イピリムマブを受けたtTMB-HおよびbTMB-H患者における客観的奏効率 (ORR)とした。
tTMB-H例およびbTMB-H例のいずれも、 ニボルマブ+イピリムマブ併用療法群で早期かつ持続的な奏効が示された。
tTMB-H例
- ニボルマブ+イピリムマブ併用療法群 : 38.6%
- ニボルマブ単剤療法群 : 29.8%
bTMB-H例
- ニボルマブ+イピリムマブ併用療法群 : 22.5%
- ニボルマブ単剤療法群 : 15.6%
ニボルマブ+イピリムマブ併用療法の安全性プロファイルは管理可能であり、 新たな安全性シグナルは認められなかった。
著者は 「標準治療に抵抗性を示す進行性または転移性のtTMB-H/bTMB-Hの固形癌に対するニボルマブ+イピリムマブは、 ORRの改善および管理可能な安全性プロファイルを伴う臨床的有効性を示した。 組織生検または組織生検が利用不可で血液サンプルによって判定され、 利用可能な治療選択肢がないTMB-Hの一部の患者において、 同併用療法は潜在的な治療選択肢であることを示唆している」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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