海外ジャーナルクラブ
24日前

Crivelliらは、 ラテンアメリカの認知症リスクが高い高齢者を対象に、同地域の文化に適応させた多因子生活習慣介入の実施可能性と全般的認知機能への影響を多施設共同・単盲検・無作為化比較試験LatAm-FINGERSで検討した。 その結果、 構造化された多因子生活習慣介入が実施された群では、 健康に関する助言が提供された群と比べて、 2年間の全般的認知機能の複合スコアの改善度が大きく、 構造化された多因子生活習慣介入はラテンアメリカ全域で実施可能であることが示された。 試験結果はLancetに発表された。
本試験は実施可能性 (feasibility) の評価を主目的として設計されており、 サンプルサイズも有効性ではなく実施可能性の検証を目的とした設定となっています。
ラテンアメリカでは認知症の負担が大きく、 認知機能低下に関連する因子の保有率も高い。 多因子生活習慣介入は、 認知機能低下を遅らせる可能性があるが、 認知症予防の臨床試験でラテンアメリカの集団が対象に含まれることが少なかった。
本試験はラテンアメリカの11カ国 (アルゼンチン、 ボリビア、 ブラジル、 チリ、 コロンビア、 コスタリカ、 ドミニカ共和国、 エクアドル、 メキシコ、 ペルー、 ウルグアイ) で実施された多施設共同・単盲検・無作為化比較試験である。 対象は、 認知症高リスク (心血管危険因子の保有、 高齢、 認知症リスクスコア6以上) かつ認知機能が最適でない60~77歳の高齢者であった。 対象者は以下の2群に1:1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は試験の実施可能性 (RE-AIM指標のReach・Implementation・Maintenanceで評価) *と、 2年間の全般的認知機能の複合スコアの推移 とした。
スクリーニング対象となった1,719例のうち1,065例が無作為化された (多因子生活習慣介入群539例、 健康助言群526例)。 平均年齢は67.5歳 (SD 4.7) で、 795例 (75%) が女性であった。 自己申告の人種・民族はメスティーソが624例 (59%) で最多であった。 2年間の追跡を完了したのは877例 (82.3%) であった。 実施可能性の指標はReach (適格者に対する登録割合) が62.0%、 多因子生活習慣介入群におけるImplementation(全試験期間の介入への遵守率) が71.6%であった。
Maintenance (認知機能アウトカムに関する完全なデータの取得率) は、 多因子生活習慣介入群では6ヵ月時が87.9%、 12ヵ月時が85.3%、 18ヵ月時が81.4%、 24ヵ月時が84.8%であり、 健康助言群 (それぞれ86.3%、 78.9%、 73.4%、 79.8%) を各時点で上回った。 脱落率は多因子生活習慣介入群の15.2%に対して健康助言群では20.2%と高かった (p=0.042)。
全般的認知機能の複合スコアは両群において経時的に上昇した。 同スコアの年間の平均変化量は健康助言群の0.20 SD (0.17-0.23) と比べて多因子生活介入群では0.31 SD (95%CI 0.28-0.34)と大きく、 群間差は年0.11 SD (0.06-0.15, p<0.0001) であり、 多因子生活習慣介入群でより改善度が高いことが示された。
有害事象は計478件報告された (多因子生活習慣介入群412件、 健康助言群66件)。 最も多かったのは筋骨格系症状 (多因子生活習慣介入群113件 [21%]、健康助言群13件 [2%]) であった。 重篤な有害事象は多因子生活習慣介入群で50例 (9%)、 健康助言群で24例 (5%) に発生し、 死亡は8例 (多因子生活習慣介入群3例、 健康助言群5例) であったが、 いずれも介入とは関連していなかった。
著者らは、 「文化適応型の多因子生活習慣介入はラテンアメリカ全域で実施可能であり、 認知機能低下リスクのある高齢者において、 健康助言による介入と比べてより大きな認知機能の改善をもたらした。この結果は、 認知症研究で十分検討されてこなかった集団における多因子生活習慣介入のエビデンスを拡充するものである。 また、 低中所得国で認知症の負担が増大しつつあるなかで、 認知機能低下リスク低減に向けた戦略としての多因子生活習慣介入の実施可能性と普及可能性を支持する結果でもある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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