PARP阻害薬rucaparibでmCRPCの増悪・死亡リスクが半減
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HOKUTO編集部

2年前

PARP阻害薬rucaparibでmCRPCの増悪・死亡リスクが半減

PARP阻害薬rucaparibでmCRPCの増悪・死亡リスクが半減
今月 (2023年2月16~18日)、米・サンフランシスコで開催された 「米国臨床腫瘍学会泌尿器がんシンポジウム (ASCO GU 2023) 」 の注目演題をまとめました。 ぜひご利用下さい。

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第Ⅲ相TRITON3

化学療法が未治療かつBRCA/ATM変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がん (mCRPC) を対象に、 PARP阻害薬rucaparibの有効性および安全性について、 担当医が選択した治療を対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験TRITON3。 米国臨床腫瘍学会泌尿器がんシンポジウム (2月16〜18日、 ASCO-GU 2023) では、 同試験の主要評価項目である画像診断に基づく無増悪生存期間 (rPFS) において、 rucaparib群では増悪・死亡リスクが半減したことが示されたことが報告された。 米・Mayo ClinicのAlan H. Bryce氏が発表した。 詳細は、 N Engl J Med (2023年2月16日オンライン版) に同時掲載された。

対照群の75%がクロスオーバー

対象と試験デザイン

同試験の対象は、 化学療法が未治療のmCRPCで、 BRCA変異またはATM変異が陽性、 かつ第二世代アンドロゲン受容体阻害薬 (ARPI) による1ラインの治療歴を有する患者。 なお去勢感受性病変に対するドセタキセルまたは他のタキサン系抗がん薬による前治療は許容された。

登録症例はrucaparib 600mを1日2回投与する群 (270例) と担当医が選択した治療 (ドセタキセルまたは第二世代ARPIのアビラテロンまたはエンザルタミド) を行う群 (135例) に2:1でランダムに割り付けられた。

主要評価項目は独立画像判定 (IRR) によるrPFS。 主要な副次評価項目は、 全生存期間 (OS) とIRR判定による全奏効率 (ORR) だった。

担当医選択治療群では、 病勢進行時にrucaparib群へのクロスオーバーが認められた。 その結果、 担当医選択治療群の75.0% (ドセタキセル投与例は77.3%、 第二世代ARPI投与例は72.5%) がrucaparib群にクロスオーバーしていた。

同試験の評価項目は階層的に評価されることになっており、 主要評価項目はBRCA変異グループにおけるrPFSを評価した後に、 intention-to-treat (ITT解析) 集団におけるrPFSを評価するデザインとなっていた。

rucaparib群では増悪・死亡リスクを50%低減

結果

両群の患者背景は同様。 rucaparib群、 担当医選択治療群でそれぞれ、 年齢中央値は70歳 (範囲45〜90歳)、 71歳 (同47〜92歳)、 BRCA1/BRCA2/ATM変異は11%/64%/26%、 11%/64%/25%だった。

2022年8月25日をカットオフ日とするBRCA変異グループにおけるrPFSの中央値は、 担当医選択治療群の6.4カ月 (95%CI 5.4〜8.3カ月) に対し、 rucaparib群では11.2カ月 (同9.2〜13.8カ月) と有意に延長 (HR 0.50、 95%CI 0.36〜0.69、 P<0.0001)。 またITT集団においても、 担当医選択治療群の6.4カ月 (95%CI 5.6〜8.2カ月) に対し、 rucaparib群では10.2カ月 (同8.3〜11.2カ月) と有意に延長していた (HR 0.61、 95%CI 0.47〜0.80、 P=0.0003)。

ATM変異グループでは両群に差なし

rPFSについて、 担当医治療群の治療別 (ドセタキセルと第二世代ARPI) に分けたサブグループ解析においても、 rucaparib群はドセタキセル治療例 (HR 0.64、 95%CI 0.46〜0.88、 P=0.0066) および第二世代ARPI治療例 (HR 0.47、 95%CI 0.34〜0.66、 P<0.0001) のいずれに対しても有意な改善を示した。

rPFS中央値をBRCA/ATMの変異別に見ると、 ATM変異グループでは、 担当医選択治療群が6.8カ月 (95%CI 4.0〜10.4カ月) に対し、 rucaparib群では8.1カ月 (同5.5〜8.3カ月) と両群で有意差を認めなかった (HR 0.95、 95%CI 0.59〜1.52、 P=0.84)。

OSはimmatureであるものの、 両群で差認めず

BRCA変異グループにおけるOSについては、 中間解析 (maturityは53.6%) の結果が報告された。 OS中央値は、 担当医選択治療群が20.8カ月 (95%CI 16.3〜23.1カ月) に対し、 rucaparib群では24.3カ月 (同19.9〜25.7カ月) と両群で有意差を認めなかった (HR 0.81、 95%CI 0.58〜1.12、 P=0.21)。 ITT集団においても、 両群でOSに差はなかった。

グレード3以上の治療関連の有害事象 (TEAEs) の発現について、 rucaparib群で頻度がもっと高かったのは、 貧血/ヘモグロビン減少 (24%)、 無力症/疲労 (7%)。 新たな安全性に関する問題は認められなかった。


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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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