海外ジャーナルクラブ
1年前
Versluisらのチームは、 国際予後判定システム (IpSS) で中等度2または高リスクと分類された50~75歳の骨髄異形成症候群 (MDS) 患者を対象に、 MDSの遺伝子変異が同種造血細胞移植 (HCT) の有効性に与える影響を検討した。 その結果、 TP53遺伝子変異を有するMDS患者において、 HCTがOSを改善することが確認された。 本研究は、 J Clin Oncol誌において発表された。
前向き観察研究です。 TP53遺伝子変異を有さないIpSS-M 超高リスク患者でも、 ドナーが得られた場合は3年時点のOSが約70%と良好な結果が得られています。
MDS患者に対するHCTは、 OSを改善することが知られている。
IpSS 中等度2または高リスクの50~75歳のMDS患者309例を対象に、 遺伝子変異とOSとの関連を評価した。
Tp53遺伝子変異を有する患者は、 2つのアレルが点変異、 欠失、 ヘテロ接合性の消失によって変化している場合、 Tp53multihitに分類された。
遺伝子変異の分布はドナー群とドナーなし群で類似しており、 TP53遺伝子が最も多かった。
TP53遺伝子
p=0.89
ASXL1遺伝子
p=0.37
SRSF2遺伝子
p=0.99
TP53遺伝子変異陽性患者のOSは、 TP53遺伝子変異陰性の患者と比較して不良であった。
TP53遺伝子変異陽性患者のOSはTP53singleとTP53multihitの間で同程度であった。
HCTを時間依存性の共変量として考慮すると、 HCTを受けたTP53遺伝子変異陽性患者では、 非HCT治療と比較してOSが改善し (3年時OS:23%±7% vs 11%±7%、 p=0.04)、 共変量調整後のHRは3.89 (95%CI 1.87-8.12、 p<0.001) であった。
TP53遺伝子変異を有さないIpSS-Mの超高リスク患者におけるOSは、 ドナーがいた場合に有意に改善した。
HCTは、 TP53遺伝子変異を有するMDS患者のOSを改善した。 TP53遺伝子変異を有さないIpSS-M 超高リスク患者でも、 ドナーが得られた場合には良好な転帰を示した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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