寄稿ライター
3日前

こんにちは、 Dr.Genjohです。 2026年7月、 内閣府から 「経済財政運営と改革の基本方針2026 (いわゆる 「骨太の方針2026」 ) 」 が発表されました。
医療政策の今後を占う重要な資料ですが、 表現が抽象的で読みづらいのが難点です。 そこで今回は、 第129回社会保障審議会医療部会で示された 「基本方針の関連部分を抜粋した資料」 をもとに、 重要なポイントをわかりやすく意訳して紹介します。 政府のホンネを読み解き、 時流に逆らわずに生き残りましょう!

【図1】を見てください。 まず重要なのは、 政府が今後も 「国民皆保険・国民皆年金を維持する」 方針を明確にしている点です。 前回の記事で触れたような、 アメリカ型の自己責任・自己負担に大きく依存する社会保障制度へ移行することは、 当面ないでしょう。
ただし、 現在の社会保障制度の持続可能性には強い危機感が示されており、 現役世代の保険料負担の上昇を止め、 引き下げていくことが強く求められています。 なかでも注目すべきは、 「2027年度の社会保障負担率を2025年度から上昇させない」 という目標です。 そのための改革が、 いよいよ本格化しそうです。
では、 現役世代の保険料率を引き下げるには、 どのような方法があるのでしょうか。 筆者は、 大きく3つに道筋があると考えています。
①経済成長によって、 社会保険料の上昇を上回るだけの現役世代の収入増を実現する
②医療・介護・年金にかかるコストを削減する
③公的扶助の負担分を抑え、 自己負担を増やす

①については、 私たちには直接的な影響を及ぼさないでしょう。 一方②③は、 医療現場を支える財源を圧迫するため、 医療従事者の生活の持続可能性に大きな影響を与えるといえます。
政府は②③をどのように進めようとしているのか。 その具体策は、 2026年7月7日に自由民主党と日本維新の会が合意した 「13の社会保障改革項目について合意された具体的な骨子」 に示されています。 非常に長いため、 ツッコミを添えて箇条書きにしてみます。
具体的には、 以下のような項目が挙げられています。
・医療給付費は、 対GDP比や雇用者報酬の伸びとの関係を踏まえて決定する
(病院が赤字でも、 経済全体が伸びていなければ、 十分な財源投入は行わない?)
・医療費適正化の取り組みは、 都道府県を主体として進める
(都道府県予算を超える社会保険料は、 国が負担しない?)
・社会保険の診療報酬決定プロセスを見直し、 医療経済系学会や患者の声を反映する
(医学的妥当性をどう担保するのか?)
・年齢によらず、 負担能力に応じた 「応能負担」 を徹底する=高齢者3割負担
(受診控えや疾患の重症化などを通じて、 長期的に医療費を押し上げる可能性あり)
・高齢者の定義を見直す
(実質的な年金の削減。 ただし、 少子高齢化時代ではやむなし)

・民間医療保険の活用を検討する
(国民皆保険の堅持のスタンスはどこへ?)
・第3号被保険者制度を見直す
(共働きの優遇。 ただし少子化がさらに進行すると、 社会保障を支える現役世代が消滅)
・医療の費用対効果を分析する
(長期的予後への影響はどう評価するのか?)
・経営スキルに長けた非医師による、 医療法人の理事長就任を可能に
(ただでさえ医療倫理が崩壊しかけているこの時代に!?)
いずれも社会保険費の抑制を強く意識した内容であり、 医療現場への影響は決して小さくありません。 恐ろしいことですが、 我々はこうした改革に備えておく必要があります。

Xアカウント : @DrGenjoh

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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