海外ジャーナルクラブ
1ヶ月前
Giménez-Arnauらは、 重症慢性手湿疹患者を対象に、 JAK阻害薬デルゴシチニブ外用薬とレチノイドの一種alitretinoin*内服薬の有効性および安全性を海外多施設共同第III相評価者盲検無作為化比較試験で比較した。 その結果、 デルゴシチニブ外用薬はalitretinoin内服薬に比べて優れた有効性と良好な安全性プロファイルを示した。 試験結果はLancet誌に発表された。
白人 (93%)、 欧州人 (90%) が大半を占める患者構成と、 二重盲検ではない試験デザインはlimitationです。
重症慢性手湿疹において、 コルチコステロイド局所療法では効果が不十分な場合が多く、 全身療法が必要となることがある。
そこで本研究では、 重症慢性手湿疹に対するデルゴシチニブ外用薬と全身療法薬であるalitretinoin内服薬の有効性および安全性を比較した。
10ヵ国102施設における18歳以上の重症慢性手湿疹患者503例が以下の2群に割り付けられ、 最長24週間投与された。
主要評価項目は、 ベースラインから12週時までの手湿疹重症度指数 (HECSIスコア) *の変化であった。
有効性はベースラインでデータが利用可能な全患者、 安全性は試験治療を受けた全患者で評価された。
デルゴシチニブ群の1例およびalitretinoin群の3例は、 ベースラインのHECSIデータが欠落していたため、 主要評価項目の解析から除外された。
主要評価項目であるベースラインから12週時までのHECSIスコアの最小二乗平均変化量は、 デルゴシチニブ群 (–67.6 [標準偏差 3.4] ) がalitretinoin群 (–51.5 [同 3.4]) と比べて有意に大きかった (差 –16.1㌽ [95%CI -23.3--8.9]、 p<0.0001)。
有害事象の発現率は、 デルゴシチニブ群 (49%) の方がalitretinoin群 (76%) と比べて低かった。 特に頻度の高い有害事象は、 頭痛 (4% vs 32%)、 鼻咽頭炎 (12% vs 14%)、 悪心 (<1% [1例] vs 6%) であった。
著者らは 「デルゴシチニブ外用薬はalitretinoin内服薬と比べて優れた有効性および良好な安全性プロファイルを示した。 この結果は、 重症慢性手湿疹患者に対するデルゴシチニブ外用薬の有用性を裏付けるものであった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。