海外ジャーナルクラブ
8ヶ月前

Deschênes-Simardらは、 大細胞型B細胞リンパ腫 (LBCL) 患者を対象に、 CD19を標的とする3種類のCAR-T細胞療法アキシカブタゲンシロルユーセル (axi-cel)、 チサゲンレクルユーセル (tisa-cel)、 リソカブタゲン マラルユーセル (liso-cel) の有効性および安全性を後ろ向き多施設コホート研究で比較評価した。 その結果、 CD19標的CAR-T細胞療法の選択により臨床転帰が異なる可能性が示唆された。 OS率はtisa-celが低い一方で、 liso-celとaxi-celでは有意差が示されず、 安全性プロファイルはliso-celが最も良好であった。 本研究はBlood Adv誌において発表された。
本研究では後ろ向きデザインに加え、 炎症データの欠如や測定の不均一性、 施設間での診療の違いや不完全なフォローアップなどがバイアスの可能性として残ることがlimitationとして挙げられます。
Axi-cel (Axicabtagene ciloleucel)
Liso-cel (Lisocabtagen maraleucel)
CD19を標的とする3種類のCAR-T細胞療法がLBCLに対して利用可能だが、 その有効性と安全性を比較評価した無作為化比較試験はこれまで報告されていない。
そこで、 2016年4月~24年7月に3種類のCD19標的CAR-T細胞療法を受けた再発・難治性LBCL患者 (axi-cel 344例、 tisa-cel 142例、 liso-cel 138例) の実臨床における転帰を後ろ向き多施設コホート研究で評価した。
追跡期間中央値20.9ヵ月における推定2年無増悪生存 (PFS) 率は、 axi-celで46%、 tisa-celで30%、 liso-celで45%、 全生存 (OS) 率はそれぞれ63%、 45%、 58%であった。
多変量解析で潜在的な交絡因子を調整後のPFS率およびOS率は、 axi-celと比べてtisa-celで有意に低かった (PFS率 : HR 2.25 [95%CI 1.65-3.06]、 p<0.001、 OS率 : HR 1.68 [95%CI 1.19-2.36]、 p=0.003)。 一方で、 liso-celとaxi-celのOS率に有意差は認められなかった。
傾向スコア分析およびサブ解析における2次治療・3次治療以降の患者でも、 同様の結果が得られた。
100日時点の客観的奏効率 (ORR) は、 axi-celと比べてliso-celで有意に高く (OR 2.31 [95%CI 1.21-4.80]、 p=0.016)、 tisa-celで有意に低かった (OR 0.36 [95%CI 0.23-0.57]、 p<0.001)。
サイトカイン放出症候群 (CRS)、 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群 (ICANS)、 免疫エフェクター細胞関連血液毒性 (ICAHT)、 および発熱性好中球減少症の発現率は、 tisa-cel・liso-celと比べてaxi-celで有意に高かった。
88%vs 72% vs 51%、 p<0.001
37% vs 18% vs 14%、 p<0.001
90% vs 70% vs 84%、 p<0.001
73% vs 57% vs 36%、 p<0.001
一方で、 感染症の累積発現率や非再発死亡率には有意差が認められなかった。
axi-celは、 採取から投与までのいわゆる 「vein-to-vein time」 が最も短く (axi-cel 35日、 tisa-cel 43日、 liso-cel 41日、 p<0.001)、 基準を満たさない規格外製品の割合が最も低かった (axi-cel 2%、 tisa-cel 4%、 liso-cel 11%、 p=0.004)。
著者らは 「本研究の結果より、 CD19標的CAR-T細胞療法の選択で臨床転帰が異なる可能性が示唆された。 OS率はtisa-celが低い一方で、 liso-celとaxi-celでは有意差が示されず、 安全性プロファイルはliso-celが最も良好であった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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