海外ジャーナルクラブ
2年前
Tolaneyらは、 腫瘍径の小さい (3cm以下) リンパ節転移陰性、 HER2陽性乳癌の患者を対象に、 パクリタキセル+トラスツズマブ併用による術後補助療法の長期転帰と潜在的な予後予測バイオマーカーを非盲検単群第Ⅱ相試験APTで検討。 10年転帰の結果、 パクリタキセル+トラスツズマブ併用はリンパ節転移陰性、 HER2陽性乳癌患者の有効であり、 HER2DXゲノムツールはこの患者集団の予後の精緻化に役立つ可能性があることが示唆された。 本研究はLancet Oncol誌において発表された。
本研究のような10年間の前向き研究結果で、 かつ介入結果がはっきりとした効果を示しているため、 RCTではありませんがほとんどの国際的なガイドラインで推奨されるだろう、 とEditorialで記載されています。 単に10年間と言いますが、 グラントをどう維持するのか (通常3−5年間)、 また研究グループをどう維持するのか、 多くの労力ののちの成果と言えます。
腫瘍径が3cm以下でリンパ節転移陰性、 HER2陽性乳癌の18歳以上の患者 (ECOG PS 0-1)。
パクリタキセル (80mg/m²) とトラスツズマブ (導入時用量4mg/kg、 その後の用量2mg/kg) の静脈内投与を12週間、 その後トラスツズマブ (毎週2mg/kgまたは3週間に1回6mg/kg) を40週間実施。
無浸潤疾患生存率
中央値10.8年 (IQR 7.1-11.4年) の追跡調査の後、 解析集団に含まれる406例の患者において、 31件の浸潤性無病生存イベントが観察された。
HER2DXリスクスコアは、 浸潤性無病生存率 (10単位増分あたりのHR 1.24、 95%CI 1.00-1.52、 P=0.047) および無再発間隔 (HR 1.45、 95%CI 1.09-1.93、 P=0.011)と有意に関連していた。
パクリタキセルとトラスツズマブの術後補助療法は、 小型、 リンパ節陰性、 HER2陽性乳がん患者に対する妥当な治療標準である。 HER2DXゲノムツールは、 この集団の予後を精緻化するのに役立つかもしれない。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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