【JAMA Oncol】大腸癌検診の間隔を15年まで延長できる可能性
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海外ジャーナルクラブ

5ヶ月前

【JAMA Oncol】大腸癌検診の間隔を15年まで延長できる可能性

【JAMA Oncol】大腸癌検診の間隔を15年まで延長できる可能性
Liangらは大腸癌の家族歴を有さない人を対象に、 初回の大腸内視鏡検査で陰性だった場合の最適なスクリーニング間隔について、 スウェーデンの全国登録データベースを用いたコホート研究にて検討した。 その結果、 2回目の検査は多くのガイドラインで推奨されている10年間隔から、 15年間隔に延長しても安全である可能性が示唆された。 本研究はJAMA Oncolにおいて発表された。 

📘原著論文

Longer Interval Between First Colonoscopy With Negative Findings for Colorectal Cancer and Repeat Colonoscopy. JAMA Oncol. 2024 May 2:e240827. PMID: 38696176

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

大腸内視鏡検査のインターバルを10年から15年に延長できるという研究成果ですが、 本研究の面白いところはさらに20年まで検討している点です。 結果としては、 害が増加してしまうことから15年という数字に落ち着いたようです。

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大腸癌検診の適切な間隔は?

大腸癌の家族歴がない人においては、 罹患率および死亡率の低下を目的に、 10年間隔での大腸内視鏡検診が推奨されている。 しかし、 これを支持するエビデンスは限られており、 検診間隔をどれほど安全に延長できるかについては議論がある。

大腸癌の家族歴がない約1,163万人が母集団

対象・方法

本研究では、 スウェーデンの全国的な癌登録データベースを活用し、 大腸癌の家族歴を有さない個人における大腸癌診断および特異的死亡率が検討された。

約1,200万人のスウェーデン国民のうち大腸癌の家族歴がないと判定された約1,163万人を母集団とし、 そこから曝露群と対照群を選出した。

曝露群

1990~2016年に初回大腸内視鏡検査を受け、 陰性と判定された45~69歳の11万74人

対照群

母集団の中から性別、 出生年およびベースライン年齢*でマッチさせた198万1,332人

* : 曝露群の初回大腸内視鏡検査で結果が陰性だった時の年齢

曝露群1人あたり最大18人が対照群とマッチングされた。 対照群では、 追跡期間中に大腸内視鏡検査を受けなかったか、 検査を受けて大腸癌と診断された。 マッチング後に対照群の個人が大腸癌検診を受け、 陰性判定が出た場合は曝露群にスイッチした。

主要評価項目

大腸癌の診断と大腸癌特異的死亡

両群の追跡は、 本人の大腸癌診断、 第1度近親者の大腸癌診断、 死亡、 スウェーデン外への移住、 2018年末のいずれかまで継続された。 曝露群で2回目の検診を受けて陰性となった個人については、 その前年までで追跡終了となった。

累積死亡リスクは45%低い

追跡期間

1990~2018年

主要評価項目

大腸癌診断数、 大腸癌特異的死亡数は以下のとおりであった。

  • 大腸癌診断数 : 484件
  • 大腸癌特異的死亡数 : 112件
参考 : 対照群ではそれぞれ2万1,778人、 5,521人

また、 15年後の時点での大腸癌診断と大腸癌死亡の10年累積リスクを比較したところ、 初回大腸内視鏡検査で結果が陰性であった群では、 各リスクが対照群に比べて有意に低かった。

  • 10年間標準化罹患比 : 0.72

(95%CI 0.54-0.94)

  • 10年間標準化死亡比 : 0.55

(95%CI 0.29-0.94)

検診間隔延長による見逃しリスク

初回大腸内視鏡検査で結果が陰性だった人の大腸内視鏡検査間隔を10年から15年に延長すると、 1,000人の大腸内視鏡検査を回避できる可能性がある一方で、 1,000人あたり2.4人の大腸癌早期発見と1.4人の特異的死亡を見逃す可能性があると予想された。

初回陰性例の検診間隔は15年に延長可能か

本研究により、 大腸癌家族歴のない集団においては、 初回大腸内視鏡検査で結果が陰性であった人の次回検査間隔を10年から15年に延長できる可能性があることが示された。 不必要な侵襲的検査の回避する上で、 大腸内視鏡検査の間隔延長は有益である。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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