海外ジャーナルクラブ
1年前
Shiらは、 前立腺癌スクリーニングを受けた45~70歳の男性を対象に、 前立腺特異抗原 (PSA) 値に影響を及ぼす遺伝的素因が前立腺癌の診断に及ぼす影響についてコホート研究で検討した。 その結果、 45~59歳の男性においては、 PSA値上昇に関連する遺伝的素因のために検査値が上昇し、 不要な前立腺癌評価の対象になりやすいことが示唆された。 本研究は、 EBioMedicine誌において発表された。
eBioMedicineはLancetグループの雑誌でIF10程度あります。 本研究結果を現在の実臨床をすぐには反映できなくても次の研究が気になる、 続編が期待される研究は間違いなく良い研究です。
PSA値は前立腺癌のリスクと無関係な遺伝的変異の影響を受けることが知られているが、 PSA値が高くなりやすい遺伝的素因が前立腺癌の診断にどのように影響するかどうかは明らかとなっていない。
前立腺癌スクリーニングを受けた45~70歳のアフリカ系及びヨーロッパ系男性:3,110例
PSA値に関連する111の一塩基多型からなる多遺伝子スコア (PGS-PSA111) と、 以下の項目との関連を検証した。
年齢別に層別化 (45~59歳、 60~70歳) して解析を行った。
45~59歳の男性では、 PGS-PSA111はPSA値>4ng/mL、 PSA値上昇を示すICDコードの記載、 泌尿器科の受診、 前立腺生検の実施と有意に関係していた。
PSA値>4ng/mL
HR:1.35 (95%CI 1.17-1.57、 p=4.5×10⁻⁵)
PSA値上昇を示すICDコードの記載
HR:1. 30 (95%CI 1.12-1.52、 p=8.0×10⁻⁴)
泌尿器科の初回受診
HR:1.34 (95%CI 1.14-1.57、 p=4.8×10⁻⁴)
前立腺生検の受診
HR:1.35 (95%CI 1.11-1.64、 p=0.002)
60~70歳の男性においては関係は有意にはならなかった。
45~59歳の男性において、 前立腺癌とは無関係でPSAレベルが高くなる遺伝的素因が、PSAレベルの上昇と診断され、泌尿器科の評価と前立腺生検を受けるリスクの増加と関連していることが示唆された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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