【COMPASSION-15】PD-1とCTLA-4に対する新規二重特異性抗体が未治療胃癌のOS改善
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HOKUTO編集部

8ヶ月前

【COMPASSION-15】PD-1とCTLA-4に対する新規二重特異性抗体が未治療胃癌のOS改善

【COMPASSION-15】PD-1とCTLA-4に対する新規二重特異性抗体が未治療胃癌のOS改善
未治療で切除不能な局所進行または転移を有する進行胃癌/食道胃接合部 (G/GEJ) 腺癌患者の1次治療において、 PD-1とCTLA-4に対する二重特異性抗体cadonilimab+オキサリプラチン+カペシタビン (XELOX療法)の併用療法の効果を、 プラセボ+XELOXを対照に検証した第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験COMPASSION-15の結果より、 無増悪生存期間 (PFS) と全生存期間(OS)を有意に延長させることが示された。 中国・Beijing Cancer HospitalのJiafu Ji氏が発表した。

1次治療としてのcadonilimab+化学療法を検証

抗PD-1抗体+化学療法の併用は、 G/GEJ腺癌の1次治療において効果を示してきたが、 PD-L1が低発現の患者においては生存率に対する効果は限られてきた。 PD-1とCTLA-4の両方を認識する二重特異性抗体であるcadonilimabと化学療法の併用療法は、 第Ib/II相試験(AK104-201、 COMPASSION-3)において、 PD-L1の発現に関わらず腫瘍反応と生存率の改善を認めた。

G/GEJ腺癌を対象にRCTを実施

対象

未治療で切除不能な局所進行または転移を有する18~75歳のG/GEJ腺癌患者 : 610例 (ECOG PS 0~1)

方法

登録患者を以下の2群に1 : 1で割り付けた。

  • cadonilimab群 : 305例
(cadonilimab 10mg/kg+XELOX[カペシタビン1,000mg/m²を 1~14日目に1日2回経口投与+オキサリプラチン130mg/m²を1日目に静脈内投与]を3週毎に6サイクル→cadonilimab 10mg/kgを3週毎に投与)
  • プラセボ群 : 305例
(プラセボ+XELOX XELOX[カペシタビン1,000mg/m²を 1~14日目に1日2回経口投与+オキサリプラチン130mg/m²を1日目に静脈内投与] を3週毎に6サイクル→プラセボを3週毎に投与)

評価項目

主要評価項目

全患者 (ITT集団) におけるOS

副次的評価項目

CPS≧5の患者におけるOS、 ITTおよびCPS≧5の患者におけるPFS・奏効率(ORR)・病勢コントロール率(DCR)・奏効期間(DoR)、 安全性、 健康関連QOLなど

PD-L1の発現に関わらずOSが改善

患者背景

  • 年齢中央値 : 63.7~64.3歳
  • 男性割合 : 77.0~78.4%
  • ECOG PS 0 : 23.0~23.6%
  • 胃癌患者の割合 : 75.7~79.3%
  • 食道胃接合部癌の患者割合 : 20.7~24.3%
  • PD-L1 CPS<1% : 22.3~23.6%
  • PD-L1 CPS1~4% : 25.9~27.9%
  • PD-L1 CPS5~9% : 14.4~19.3%
  • PD-L1 CPS≧10% : 23.6~26.6%

追跡期間中央値

18.69ヵ月(範囲14.19~19.91ヵ月)

主要評価項目

OS中央値(95%CI)

  • cadonilimab群 : 15.0ヵ月
(12.3-19.3ヵ月)
  • プラセボ群 : 10.8ヵ月
(9.8-12.0ヵ月)
HR 0.62 (0.50-0.78)、 p<0.001

OS率(12ヵ月時、 18ヵ月時)

  • cadonilimab群 57.3%、 45.8%
  • プラセボ群 43.7%、 25.5%

副次評価項目

【PD-L1 CPS≧5の患者におけるOS】

中央値(95%CI)

  • cadonilimab群 NR
(11.4ヵ月-NR)
  • プラセボ群 10.6ヵ月 
(8.6-12.6ヵ月)
HR 0.56 (0.39-0.80)、 p<0.001

OS率 (12ヵ月時、 18ヵ月時)

  • cadonilimab群 58.0%、 51.2%
  • プラセボ群 44.1%、 23.5%

【PD-L1 cps<5の患者におけるOS】

中央値(95%CI)

  • cadonilimab群 14.8ヵ月
(11.6-18.6ヵ月)
  • プラセボ群 11.1ヵ月
(10.1-13.0ヵ月)
HR 0.70 (0.51-0.95)、 p=0.011

OS率(12ヵ月時、 18ヵ月時)

  • cadonilimab群 56.9%、 44.1%
  • プラセボ群 45.1%、 27.5%

【サブグループ解析】

事前に規定された全てのサブグループにおいて、 cadonilimab群のプラセボ群に対する優位性が一貫して認められた。

【ITT患者におけるPFS】

中央値(95%CI)

  • cadonilimab群 7.0ヵ月
(6.4-8.4ヵ月)
  • プラセボ群 5.3ヵ月
(4.5-5.6ヵ月)
HR 0.53 (0.44-0.65)、 p<0.001

PFS率(6ヵ月時、 9ヵ月時)

  • cadonilimab群 58.2%、 42.2%
  • プラセボ群 39.4%、 16.9%

【PD-L1 CPS≧5の患者におけるPFS】

中央値(95%CI)

  • cadonilimab群 6.9ヵ月
(5.6-9.9ヵ月)
  • プラセボ群 5.5ヵ月
(4.5-5.8ヵ月)
HR 0.51 (0.37-0.70)、 p<0.001

PFS率(6ヵ月時、 9ヵ月時)

  • cadonilimab群 58.1%、 40.9%
  • プラセボ群 40.2%、 15.1%

【PD-L1 cps<5患者におけるPFS】

中央値(95%CI)

  • cadonilimab群 6.9ヵ月
(5.7-9.0ヵ月)
  • プラセボ群 4.6ヵ月
(4.3-5.6ヵ月)
HR 0.60 (0.45-0.79)、 p<0.001

PFS率 (6ヵ月時、 9ヵ月時)

  • cadonilimab群 56.8%、 41.7%
  • プラセボ群 38.0%、 17.7%

【ORR(95%CI)】

  • cadonilimab群 65.2%
(59.6-70.6%)
  • プラセボ群 48.9%
(43.1-54.6%)

【DoR中央値(95%CI)】

  • cadonilimab群 8.8ヵ月
(7.0-12.3ヵ月)
  • プラセボ群 4.4ヵ月
(4.2-5.2ヵ月)

【有害事象 (AE) 】

Grade3以上の治療関連AEの発現率

  • cadonilimab群 : 65.9%
  • プラセボ群 : 53.6%

治療中断に至った治療関連AE(≧Grade3)発現率

  • cadonilimab群 : 15.4%%
  • プラセボ群 : 5.3%

治療関連死亡率

  • cadonilimab群 : 1.6%
  • プラセボ群 : 2.3%

PD-L1低発現G/GEJ腺癌の新たな治療選択となるか

Ji氏らは 「cadonilimabは、 化学療法との併用で、 前治療歴のないG/GEJ腺癌において、 化学療法単独と比較し、 統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるOSの改善を示した初めてのPD-1とCTLA-4に対する二重特異性抗体である。 同併用療法は、 特にPD-L1発現が低いG/GEJ腺癌の新たな標準治療となる可能性がある」 と述べた。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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