HOKUTO編集部
12ヶ月前
前治療歴のあるHER2陽性局所進行/転移乳癌患者を対象に、 HER2チロシンキナーゼ阻害薬tucatinib+トラスツズマブ・エムタンシン (T-DM1) 併用療法の有効性および安全性を検証した第III相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験HER2CLIMB-02の結果、 tucatinib+T-DM1はT-DM1単独と比較して無増悪生存期間 (PFS) を有意に改善し、 脳転移患者におけるPFSも延長したことが示された。 米・Fred Hutchinson Cancer CenterのSara A. Hurvitz氏が発表した。
トラスツズマブとタキサン系薬による治療後に病勢進行を認めたHER2陽性局所進行/転移性乳癌で、 ECOG PS≦1の患者
463例を以下の2群に1 : 1で割り付けた
主要評価項目
RECIST v1.1基準に基づく担当医の判定によるPFS
副次評価項目
全生存期間 (OS)、 RECIST v1.1基準に基づく確定客観的奏効率 (cORR)、 脳転移患者におけるPFSとOS
24.4ヵ月 (データカットオフ日 : 2023年6月29日)
HR 0.76 (95%CI 0.61-0.95)、 p=0.0163
脳転移患者
HR 0.64 (95%CI 0.46-0.89)
事前に規定されたOS最終解析のために必要なイベント253例中134例 (53%) が観察された段階で実施されたOS中間解析の結果では、 両群間で有意水準 (p≤0.0041) を満たさなかった。
HR 1.23 (95%CI 0.87-1.14)
新たな有害事象は認められず、 既報と一致していた。
Grade3以上の治療関連有害事象 (TEAE) の発現率
≧5%に認められたGrade3以上のTEAE (tucatinib群 vs プラセボ群)
既治療のHER2陽性局所進行/転移乳癌患者において、 T-DM1にtucatinibを追加することでPFSが有意に改善した。 tucatinib群では肝イベントの発生率が高かったが、 一過性でコントロール可能、 かつ可逆的であった。 本試験は、 HER2陽性局所進行/転移性乳癌で脳転移例を含む患者において、 tucatinibを含むレジメンが病勢進行を遅らせることを証明した2件目の無作為化比較試験である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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