海外ジャーナルクラブ
1年前
Boulwareらは、 軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の外来患者を対象に、 吸入フルチカゾンフランカルボン酸エステルの効果を分散型二重盲検無作為化プラセボ対照プラットフォーム試験で検討。 その結果、 吸入フルチカゾンフランカルボン酸エステルによる治療を14日間行っても、 プラセボと比較して回復までの期間は短縮されなかった。 本研究は、 NEJM誌において発表された。
流行りのBayesian approachを用いたrandomized、 placebo-controlled platform trialです。 本グループでもJAMA、 NEJMと多数掲載されており、 手法は確立したと言えます。 今後本手法による臨床研究が主流となると思われます。
軽症~中等症のCOVID-19外来患者における症状消失までの期間短縮や、 入院や死亡の予防における吸入グルココルチコイドの効果は不明である。
7日以内に2つ以上の急性感染症状を有するCOVID-19の非入院成人患者 (30歳以上)
患者を以下の群に無作為に割り付け
持続的回復までの期間 (3日連続で症状がない場合の3日目と定義)
28日目までの入院または死亡、 28日目までの緊急診療所または救急部受診の必要性、 入院、 死亡の複合転帰
フルチカゾンフランカルボン酸エステルの投与により、 プラセボよりも回復までの期間が短縮しなかった。
HR 1.01、 95%CI 0.91-1.12
有益性の事後確率 (HRが1を超えることと定義) :0.56
フルチカゾンフランカルボン酸エステル群では3.7% (24例) が緊急診療所受診、 救急外来受診、 入院のいずれかに至ったのに対し、 プラセボ群では2.1% (13人) にとどまった。
HR 1.9、 95%CI 0.8-3.5
有害事象の頻度は両群いずれも低かった。
吸入フルチカゾンフランカルボン酸エステルによる14日間の治療は、 COVID-19外来患者の回復までの期間を短縮しなかった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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