海外ジャーナルクラブ
2年前
Youngらは、 インヒビターを有する重症血友病Aまたは血友病Bの患者を対象に、 新規siRNA治療薬fitusiranの予防的皮下投与の有効性と安全性を多施設共同無作為化非盲検第Ⅲ相試験で検討。 その結果、 fitusiranの予防的皮下投与が、 インヒビターを有する血友病Aまたは血友病Bの患者の年換算出血率を統計的に有意に減少し、 参加者の2/3は出血がゼロとなった。 本研究はLancet誌において発表された。
Backgroundにはfitusiranは、 アンチトロンビンを標的とする新規開発のsiRNA治療薬であり、 インヒビター保有の有無を問わず血友病AまたはB患者の止血バランスを調整する、 と書かれています。 サラッと書いていますが、 このバランスを調整する、 というのは凝固線溶の究極のテーマですので、 その通りの結果と言えます。
fitusiranは、 血友病Aまたは血友病Bの患者において、 アンチトロンビンを標的として止血のバランスを調整する。
インヒビターを有する重症血友病Aまたは血友病Bの12歳以上の男性
患者を以下の群に2:1の割合でランダムに割り付けた。
intention-to-treat集団において、 負の二項モデルで推定した有効期間中の平均年換算出血率
安全性
fitusiran予防投与群 (1.7%、 95%CI 1.0-2.7%) の方が対照群 (18.1%、 95%CI 10.6-30.8%) よりも有意に低かった
最も頻度の高い治療上緊急の有害事象は、 ALT増加でありfitusiran予防投与群の32% (41例中13例) に確認されたが、 対照群では確認されなかった。
血栓塞栓症疑いまたは確認された事象はfitusiran予防投与群の5% (41例中2例) に確認されたが、 死亡例は報告されなかった。
fitusiran皮下投与により、 インヒビターを有する血友病Aまたは血友病Bの患者の年換算出血率が統計的に有意に減少し、 2/3の患者で出血がゼロとなった。 fitusiranの予防投与は、 インヒビターを有する血友病Aまたは血友病Bの患者において止血効果を示す可能性があり、 血友病患者の管理を改善する可能性がある。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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