
本コンテンツはNational Comprehensive Cancer Network (NCCN) のガイドラインについて、 専門医の視点からわかりやすい解説を行う企画です。 最新の情報が紹介されておりますので、 ぜひとも臨床の参考としていただければ幸いです。
本稿はNCCNガイドライン Version 1.0.2025を基に作成しています (閲覧日 : 2025年1月15日)
解説医師

1. 強化寛解導入療法の変更点
強化寛解導入 (Intensive induction eligible) と低強度療法 (Lower intensity therapy) に分ける際に、 以前は60歳という年齢が一番大きく取り上げられていたが、 年齢の条件がなくなっている点が着目される。 今後は単純に年齢のみならず、 いわゆる高齢者機能評価 (Geriatric Assessment) のような総合的な判断*に基づいて治療の強度を選択することとなる。
*ECOG PS 0~2で機能良好、 併存疾患が最小限、 好ましくない細胞遺伝学的または分子マーカーを伴わないde novo AML、 特に好ましい特徴を持つ患者など
予後良好/中リスク群のアルゴリズム

NCCN guideline Version 1.0.2025を基に編集部作成
予後不良群の治療アルゴリズム

NCCN guideline Version 1.0.2025を基に編集部作成
シタラビンを中心とした寛解導入後の追跡調査および再導入

NCCN guideline Version 1.0.2025を基に編集部作成
2. 低強度療法の変更点
一方、 強化寛解導入のみならず低強度療法のアルゴリズムにも同種移植が含まれており、 初回治療後に移植適応であるかどうかは再度検討する必要があることが示された。 本邦ではいまだに年齢で移植適応が判断されることも多いが、 世界的にはその限りではなくなっている。
低強度療法の治療アルゴリズム

NCCN guideline Version 1.0.2025を基に編集部作成
低強度療法と寛解導入療法後の追跡調査

NCCN guideline Version 1.0.2025を基に編集部作成
関連コンテンツ
寛解導入療法
IDR+AraC / DNR+AraC
イダルビシン+シタラビン / ダウノルビシン+シタラビン
CAG
シタラビン、 アクラルビシン、 G-CSF
Liposomal daunorubicin-cytarabine
ダウノルビシン・シタラビン リポソーム製剤
VEN+LDAC
ベネトクラクス、 少量シタラビン
ATRA (±IDR+AraC)
JALSG APL204寛解導入療法
IDR or DNR+AraC+Quizartinib
キザルチニブ併用寛解導入療法 (FLT3-ITD変異陽性例)
地固め療法
HDAC (High dose AraC)
大量シタラビン
HDAC (high-dose AraC) + Quizartinib
大量シタラビン+キザルチニブ (FLT3-ITD変異陽性例)
ATO
三酸化二ヒ素
MIT+AraC、DNR+AraC、ACR+AraC、A-Triple V
AML地固め療法①-④
再発・難治症例
VEN+AZA
ベネトクラクス、 アザシチジン
Quizartinib
キザルチニブ
Gilteritinib
ギルテリチニブ
Gemtuzumab ozogamicin
ゲムツズマブオゾガマイシン
FLAGM
フルダラビン、 シタラビン、 G-CSF、 ミトキサントロン