海外ジャーナルクラブ
2年前
Yangらは、 頭蓋内主幹動脈閉塞による脳梗塞患者を対象に、 血管内血栓除去術後の最適な収縮期血圧目標値を検討する非盲検評価項目無作為化比較試験を実施。 その結果、 患者の機能回復を損なわないために、 収縮期血圧を120mmHg以下の「強化血圧コントロール」は避けるべきとの報告がなされた。 本研究は、 Lancet誌において発表された。
本研究のような2つの基準を比較する研究がよくあります。 どっちがいいのか?個人的な意見になりますが、 「生の結果」が答えを物語っていることが多いです。 本研究ではSBP <120と140-180mmHgでの2群比較ですが、 実際の図を見ますと2群ともに130-140mmHgあたりのところに収束しているようです。
脳梗塞に対する血管内血栓除去術後の最適な収縮期血圧は不明である。
頭蓋内主幹動脈閉塞による脳梗塞に対し、 血管内血栓除去術による再灌流が成功した後に収縮期血圧が持続的に上昇 (140mmHg以上、10分以内) した18歳以上の患者。
強化療法群:sBP ≦120mmHg
非強化療法群:sBP 140-180mmHg
90日後のmRSにより評価。
評価項目のデータをレビューした結果、 有効性と安全性の懸念が継続したため、 試験は中止された。
強化療法群404名、 非強化療法群406名で主要評価項目のデータが利用可能であった。 機能的転帰が不良となる可能性は、 強化治療群のほうが高かった (共通OR:1.37、 95%CI 1.07-1.76)
強化療法群は非強化療法群と比較して、 早期の神経学的悪化 (共通のOR:1.53、 95%CI 1.18-1.97) および90日目の重大な障害 (OR:2.07、 95%CI 1.47-2.93) が多かったが、 症候性脳内出血に有意差はみられなかった。 重篤な有害事象や死亡率にも群間差はなかった。
頭蓋内主幹動脈閉塞による脳梗塞に対して血管内血栓除去術を受けた患者の機能回復を損なわないために、 収縮期血圧を120mmHg以下に集中的に降圧することは避けるべきであると考える。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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