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海外ジャーナルクラブ

169日前

【Lancet Neurol】移動式脳卒中ユニットによるテネクテプラーゼ vs アルテプラーゼ

Bivard Aらは、 血栓溶解療法の適応となる虚血性脳卒中患者104名を対象に、 移動式脳卒中ユニット(MSU) を用いて血栓溶解薬のテネクテプラーゼを投与した際の効果を、 アルテプラーゼ投与と比較した (TASTE-A試験:第Ⅱ相無作為化オープンラベル試験). 結果、 MSUを用いたテネクテプラーゼの投与はアルテプラーゼ投与に比べ早期再灌流率が優れており、 安全性に関する懸念も認められなかった. 本研究はLancet Neurol誌において発表された.

背景

移動式脳卒中ユニット(MSU) は血栓溶解療法に要する時間を短縮し、 患者の予後を改善することが知られている. MSUで投与されたテネクテプラーゼはアルテプラーゼと比較して、 病院到着時の再灌流に優れるという仮説を検証した.

研究デザイン

  • 対象:血栓溶解療法の適応となる18歳以上の虚血性脳卒中患者
  • 発症後4.5時間以内に、 MSUを用いてアルテプラーゼまたはテネクテプラーゼを投与し、 その後病院に搬送して継続治療を行った.
  1. アルテプラーゼ群:49名 (0~9mg/kg、 最大90mg)
  2. テネクテプラーゼ群:55名 (0~25mg/kg、 最大25 mg、 10秒間のボーラス静注)
  • 主要評価項目:CT-perfusion 画像により評価した、 病院到着時の灌流病変の容積.
  • 副次評価項目:90日後のmRSスコア 5~6点、 症候性脳内出血および 36 時間以内のあらゆる出血、 90日後の死亡.

研究結果

患者の年齢中央値は73歳、 ベースライン時のNIHSS中央値は8であった.

主要評価項目

灌流病変の容積はテネクテプラーゼの方がアルテプラーゼより有意に小さかった (中央値12mL vs. 35mL、 調整後発生率比0-55 95%CI 0.37~0.81、 p=0.0030 ) .

副次評価項目

90日時点のmRS (5または6)

  • テネクテプラーゼ群:8名 (15%)
  • アルテプラーゼ群で10名 (20%)
  • (aOR 0-70、 95%CI 0.23~2.16、 p=0.54)

90 日時点での死亡

  • テネクテプラーゼ群: 5名 (9%)
  • アルテプラーゼ群: 5名 (10%)
  • (aOR 1.12、 95% CI 0.26-4.90、 p=0.88)

36時間以内の症候性脳内出血はいずれの治療法でも確認されなかった.

安全性評価

90日時点での重篤な有害事象は13例で、 アルテプラーゼ群の方が多かった.

  • テネクテプラーゼ群:5例 (5%)
  • アルテプラーゼ群:8例 (8%)

結論

MSUでテネクテプラーゼを投与した結果、 アルテプラーゼと比較して早期再灌流率が優れており、 安全性に関する懸念は認められなかった.

HOKUTO編集部コメント

本邦での脳卒中血栓溶解療法で保険適用となっているのはアルテプラーゼのみであるが、 近年新世代rt-PAであるテネクテプラーゼの臨床試験が相次いている. アルテプラーゼを遺伝子工学的に改善した薬剤であり、より強い血栓溶解作用と、出血合併症の減少が期待される. また、MSUは採算性に対する批判があるものの、最近では長期的には医療経済的にも十分見合う可能性が試算されている. 本邦においても今後の進展を見守りたい.

原著

Bivard A、 et al、 Comparison of tenecteplase with alteplase for the early treatment of ischaemic stroke in the Melbourne Mobile Stroke Unit (TASTE-A): a phase 2、 randomised、 open-label trial. Lancet Neurol. 2022 Jun;21(6):520-527. PMID: 35525251

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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