海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Cookeらは、 慢性C型肝炎患者を対象に、 抗ウイルス薬併用療法2種の有効性と、 新たな治療戦略の有効性を比較する非盲検無作為化比較試験を実施した。 その結果、 ソホスブビル/ダクラタスビルのソホスブビル/ベルパタスビルに対する非劣性が示された。 試験結果はLancet誌に発表された。
本研究では軽度~中等度の肝疾患患者のみが対象です。 高度線維化や肝硬変の患者では治癒率が低くなる可能性があるため、 さらなる検討が必要との記載があります。
WHOはC型肝炎治療に対して、 抗ウイルス薬併用療法3種のうちいずれかを用いた8~12週間の治療を推奨している。 しかし、 3種を直接比較した無作為化試験はなく、 短期間の治療でも高い治癒率が得られる可能性があるとされている。
この試験では、 ソホスブビル/ダクラタスビルとソホスブビル/ベルパタスビルの2つのレジメンを比較した。
ベトナムで実施された非盲検無作為化比較試験の対象は、 18歳以上で慢性C型肝炎と軽度~中等度の肝線維化がある成人患者であった。
対象患者は、 以下のレジメンに割り付けられた。
対象患者は、 同時に以下の治療戦略の4群に割り付けられた。
主要評価項目は、 治療終了後12週時点での持続的ウイルス学的著効達成率 (SVR) であり、 評価可能なすべての参加者を対象に解析した。 非劣性マージンは、 レジメン比較については5%、 治療選択比較については10%とした。 副次評価項目は安全性であり、 無作為化された全参加者を対象に評価した。
2020年6月19日~23年5月10日に計624例 (男性75%、 女性25%) が無作為化された。 ウイルス遺伝子型は、 328例 (53%) が1-5型、 296例 (47%) が6型であった。
SVR達成率は、ソホスブビル/ダクラタスビル群が97% (294/302例)、 ソホスブビル/ベルパタスビル群が95% (292/307例)であった (リスク差2.2%㌽、 90%CrI –0.2~4.8%㌽)。
リスク差は非劣性マージン5%内に収まり、 ベイズ推定に基づき、 ソホスブビル/ダクラタスビル群のソホスブビル/ベルパタスビル群に対する優越率は93%とされた。
各治療戦略のSVR達成率は以下の通りであった。
すべてのリスク差は、 10%の非劣性マージン内であった。
重篤な有害事象はまれであり群間差は見られなかったが、 4週間抗ウイルス薬+インターフェロン群で有害事象の発現頻度が著しく高く、 標準治療群とのリスク差は 66.8%㌽ (95%CrI 59.2–74.0%㌽、 p<0.0001) であった。
著者らは、 「ソホスブビル/ダクラタスビルはソホスブビル/ベルパタスビルに対して非劣性であった。 新規の治療戦略で高い有効性が認められたことから、 治療が届きにくい集団に対する治療のアプローチとして役立つ可能性がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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