Kearon Cらは, 深部静脈血栓症 (DVT) の症状または徴候のある1508名を対象に, 臨床予測ルールのWell'sスコアとDダイマー値を組み合わせた診断アルゴリズムの有用性を評価する前向き診断管理研究を実施(4D試験).
結果, 超音波画像診断の必要性が大幅に減少し, DVTのリスクが低い患者群を特定することができたと報告した. 本研究はBMJ誌において発表された.
研究デザイン
- DVTの症状または徴候のある1,508名が対象.
- Well'sスコアが低リスクで, Dダイマーが1,000ng/mL未満, Well'sスコアが中リスクでDダイマー500ng/mL未満の場合はDVTから除外し, その他の患者は近位超音波画像診断を実施.
- 超音波検査が陰性で Well'sスコアが低~中リスクでDダイマーが3,000ng/mL以上, またはWell'sスコアが高リスクでDダイマーが1,500ng/mL以上の患者に限定し再度の近位超音波検査を実施.
- DVTと診断されなかった場合, 抗凝固剤治療は行わなかった.
- 主要評価項目:3ヵ月後の症候性静脈血栓塞栓症.
DVT診断の新アルゴリズム
以下、原著論文をもとにHOKUTO編集部が作成
研究結果
- 検査の結果, 173名 (11.5%) がDVTと判明.
- 検査で近位部DVTがなく, 抗凝固剤治療を受けなかった1,275名のうち8人 (0.6%,95%CI 0.3~1.2%) が追跡中に静脈血栓塞栓症を発症.
- 本診断法は, 従来のDVT検査法と比較し, 超音波検査の必要性を平均1.36回から0.72回 (差 -0.64, 95%CI -0.68~-0.60 ) に減らした. これは相対低下率47%に相当する.
原著論文
Kearon C, et al, Diagnosis of deep vein thrombosis with D-dimer adjusted to clinical probability: prospective diagnostic management study. BMJ 2022 ; 376 : e067378
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