亀田総合病院
6ヶ月前
亀田総合病院リウマチ・膠原病・アレルギー科の専門医が、 リウマチ・膠原病診療に関わるさまざまな疑問とそのTipsについて、 分かりやすく解説します (第6回解説医師 : 六反田諒先生)。
膠原病を疑った場合にC3、 C4、 CH50といった補体関連検査を測定する場合があります。 各検査の意義や、 どのような疾患を疑った場合に測定すべきかを整理しておきしょう。
補体は生体内のタンパク質であり、 その名の通り 「病原体を排除する際に他の免疫の機能を補う」 という意味から名付けられたものです。
補体には
①抗原の貪食を助ける (オプソニン化)
②膜侵襲複合体 (membrane attack complex;MAC) 形成による病原体の細胞障害
③免疫細胞の遊走
――といった機能があります。
補体を活性化させる経路には下図の通り、 ①古典的経路、 ②レクチン経路、 ③副経路―の3つがあります。
C3は3つの経路全てに関連しており、 いずれかの経路が活性化すればC3が消費され低下します。
C4は古典的経路およびレクチン経路に関連します。 特に古典的経路は抗体によって補体の活性化が生じる際の経路であり、 全身性エリテマトーデス (SLE) などで自己抗体が補体を活性化させている場合にC4が消費され低下します。
例えばC4は正常で、 C3のみが単独で低下している場合には、 自己抗体を伴わない補体活性化が示唆され、 この要因には溶連菌感染後の糸球体腎炎などが該当します。
CH50は補体系の総合的活性である感作赤血球溶血活性を診る検査であり、 古典経路から開始されるC1~C9の全てが機能していることを確認する検査です。
SLEや感染症でC3、 C4が低下している場合にもCH50の低下が起こりますが、 例えばC9のような日常臨床で測定できない補体因子の低下があった場合にもCH50の低下が見られます。
C3、 C4の低下は直接測定できるため、 CH50は主として日常臨床で測定できない補体因子の低下や欠損を疑った場合に使用します。 また、 C3より下流の補体欠損ではMACの形成不全が生じることから、 特に莢膜を有する細菌感染への免疫が低下すると言われています。
以上を基にC3、 C4、 CH50の上昇/低下による鑑別を下表に示します。
注意すべき点として、 ①低栄養や肝硬変などで補体の産生が低下する場合には、 補体の消費が無くても低下し得る、 ②補体はCRPなどと同じ急性炎症タンパクであり、 炎症の際には非特異的に上昇する――などがあります。
これらを知ったうえで、 ぜひ日常臨床で補体検査を使いこなしてください。
¹⁾ Cell Res. 2010 Jan;20(1):34-50.
²⁾ MedicalPractice編集委員会ほか編 : 臨床検査ガイド2015年改訂版. 2015. 文光堂.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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