HOKUTO編集部
5日前

HER2遺伝子変異を有する未治療の切除不能・進行または転移性非小細胞肺癌 (NSCLC) 患者を対象に、 1次治療におけるトラスツズマブ デルクステカン (T-DXd) 単剤と標準治療のペムブロリズマブ+プラチナ製剤ベース化学療法 (以下、 ペムブロリズマブ+化学療法) を比較した第Ⅲ相無作為化比較試験DESTINY-Lung04の主解析から、 ペムブロリズマブ+化学療法群と比べてT-DXd群で主要評価項目の無増悪生存期間 (PFS) の有意な延長が示された。 一方、 全生存期間 (OS) については両群間で有意差を認めなかった。 米・Dana-Farber Cancer InstituteのJulia Rotow氏が発表した。
HER2 (ERBB2) 遺伝子変異は非扁平上皮NSCLCの約2~4%に検出され、 悪性度が高く予後不良である。 1次治療では免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) +プラチナ製剤ベース2剤併用化学療法が標準治療として位置付けられているが、 奏効率が限定的であり、 多くの患者で病勢進行がみられることから、 HER2を標的とした治療が求められてきた。
HER2を標的とする抗体薬物複合体 (ADC) のT-DXdは、 切除不能または転移性HER2遺伝子変異陽性NSCLC患者に対する2次治療での使用が承認された世界初のHER2標的薬である。 本試験は、 同集団の1次治療におけるHER2標的治療を検証した初のグローバル第Ⅲ相試験である。
対象は、 HER2遺伝子のexon19またはexon20変異を有し、 ECOG PS 0/1で未治療の切除不能・局所進行または転移性の非扁平上皮NSCLC患者454例であった。 対象者は脳転移の有無と喫煙歴で層別化され、 以下の2群に1:1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は盲検下独立中央判定 (BICR) によるPFS、 副次評価項目はOS、 奏効率 (ORR)、 奏効期間 (DoR)、 PFS2と安全性だった。 データカットオフは2026年6月9日で、 追跡期間中央値はT-DXd群が21.6ヵ月、 ペムブロリズマブ+化学療法群が20.4ヵ月だった。
主要評価項目のBICRによるPFSの中央値は、 ペムブロリズマブ+化学療法群の8.3ヵ月 (95%CI 7.0–9.9ヵ月) に対してT-DXd群では14.3ヵ月 (95%CI 12.4–16.5ヵ月) と6ヵ月の延長が示され、 病勢進行または死亡のリスクが37%低下した (HR 0.63 [95%CI 0.50–0.79]、 p<0.0001)。
ORRはT-DXd群が70.0% (95%CI 63.6–75.9%)、 ペムブロリズマブ+化学療法群が44.5% (95%CI 37.9–51.2%) で、 オッズ比は2.93 (95%CI 2.00–4.34) であった。 DoR中央値はT-DXd群が13.4ヵ月、 ペムブロリズマブ+化学療法群が9.7ヵ月だった。
OS中央値は、 T-DXd群で29.3ヵ月、 ペムブロリズマブ+化学療法群で33.1ヵ月であり、 T-DXdによる有意なOS延長は認められなかった (HR 1.15 [95%CI 0.88–1.52] )。
今回のOS解析はデータのmaturityが46.9%の中間解析で、 正式な仮説検定は第2回中間解析および最終解析で実施される予定である。 Rotow氏は、 試験治療中止後に抗HER2療法を受けた患者の割合がT-DXd群と比べてペムブロリズマブ+化学療法群で高かったことに言及し、 「その後の治療がOSの結果に影響した可能性がある」 との見方を示した。
Grade≧3の薬剤関連有害事象は、 T-DXd群で34.1%、 ペムブロリズマブ+化学療法群で33.6%にみられた。 死亡に至った薬剤関連有害事象の発現率はそれぞれ1.8% (4例)、 0.5% (1例) であった。 独立判定委員会が薬剤関連と判定した間質性肺疾患 (ILD)/肺臓炎はT-DXd群で47例 (20.8%)、 ペムブロリズマブ+化学療法群で5例 (2.3%) に発現した。
Rotow氏は、 「DESTINY-Lung04試験は主要評価項目を達成し、 標準治療であるペムブロリズマブ+2剤併用化学療法と比べてT-DXd単剤療法はBICR判定によるPFSの統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善をもたらした」 と述べ、 「本試験はHER2遺伝子変異を有するNSCLCにおいて標準治療に対するHER2標的治療のベネフィットを示した初の第Ⅲ相試験であり、 1次治療の新たな選択肢としてT-DXdを支持する結果となった」 と結論付けた。
ASCOのNSCLCガイドライン 「EGFR以外の変異・転座陽性例への推奨レジメンは?」
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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