藤田医科大学産婦人科
8ヶ月前

藤田医科大学産婦人科による、 産婦人科診療に役立つ情報をお届けする新連載が始まります!

超音波検査で胎児心拍が確認されたら、 妊婦は各自治体で児の数に応じて母子手帳を交付後、 妊婦健康診査 (妊婦健診) を行う。
妊婦は、 妊娠10~24週は4週ごと、 妊娠24~36週は2週ごと、 妊娠36週以降は1週ごとに通院し、 健診を受ける。
施設や母子手帳を交付する自治体により差異はあるが、 妊娠の初期・中期・後期それぞれの妊婦健診で、 血液型、 不規則抗体、 血算、 血糖値の検査を行う。
さらに、 感染症として風疹、 B型肝炎、 C型肝炎、 梅毒、 HIV*¹、 HTLV-1*²、 頸管粘液中クラミジアDNA、 妊娠34週以降の腟分泌中GBS*³の検査をすることが多い。
希望者には、 妊娠初期の母体初感染から胎児感染が問題となるサイトメガロウイルス (CMV)、 トキソプラズマ、 ヒトパルボウイルスB19などの検査をすることもある。
血圧と蛋白尿は毎回行われ、 妊娠高血圧症候群を診断、 またはリスクを評価する。
妊娠中の高血糖 (>100mg/dL) は妊娠糖尿病のハイリスクであるため、 75g糖負荷試験を行う。
胎児発育の評価は、 子宮底計測、 超音波検査による胎児計測で行う。 また、 早産ハイリスクのスクリーニングとして、 妊娠24週までに子宮頸管長を評価する。
正期産期以降は内診により子宮頸管熟化を評価する。 必要に応じて、 過期産予防目的に妊娠41週までに分娩するように計画する。
分娩の3要素 (産道・娩出力・娩出物) の条件がそろえば経腟的に、 条件がそろわなければ帝王切開で分娩する。
帝王切開の適応がない場合は陣痛発来を待機するが、 必要に応じて子宮収縮薬を投与して分娩誘発する。
陣痛発来時、 または前期破水時に入院管理とする。 早産児の管理が困難な施設では、 高次施設へ母体搬送を考慮する。
分娩中は母児が急変するリスクがあるため、 入院時のバイタルサイン、 蛋白尿、 およびCTG (cardiotocogram)の所見を評価する。
分娩前後は母体感染徴候にも注意する。 母体感染で問題となる絨毛膜羊膜炎に注意し、 胎児感染の前に分娩するよう管理する。
分娩進行の評価は内診所見が主であったが、 近年は客観性の高い経会陰超音波検査で児頭下降度や回旋の評価を行うようになってきた。 母児の適応があれば急速遂娩を考慮する。
流産は、 受精の時期から算出された妊娠週数になっても児心拍が確認できない、 または、 児心拍を確認した後にそれが確認できないことにより診断する。
流産はその状態や流産後の経過によって分類されている。 その分類を理解しておく。

流産後はその妊娠が終了している (妊娠組織が母体内に残存していない) ことを確認するまで管理し、 次回妊娠に備える。
妊娠中および分娩後の妊産婦は、 児と共に管理される。 妊娠・出産・育児には家族のサポートが必須であり、 産婦人科医は妊産婦および家族とのコミュニケーションが必要である。
ただし、 過剰に謙ったり、 高圧的になったりする必要はない。
最近では、 妊産婦と同年代女性の自殺が話題になっている。
妊産婦の個人情報保護に注意しながら、 必要に応じて家族やメディカルスタッフと情報を共有し、 妊産婦の身体面だけでなく精神面でのサポートを家族と協働して行うことが求められる場合がある。
周産期管理では産婦人科医に加え、 小児科医、 助産師、 看護師がチームで関わる。
また、 妊産婦の家庭の状況によっては、 ソーシャルワーカー、 地域の保健師、 児童相談所職員などともコミュニケーションをとる必要がある場合があり、 医療施設だけでなく地域全体で妊産婦をサポートする必要性を認識しておく。
本稿の内容は、 産婦人科専攻医が周産期領域で必要になる知識である。 周産期の現場でこのような状況に直面したら、 そのつど成書を開き、 各事象について理解したうえで対応することが重要である。


TEL : 0562-93-9294 (医局直通)
Mail : obgy9294@fujia-hu.ac.jp
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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