【NEJM】家族性高カイロミクロン血症症候群に新規アンチセンス阻害薬が有効
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海外ジャーナルクラブ

4ヶ月前

【NEJM】家族性高カイロミクロン血症症候群に新規アンチセンス阻害薬が有効

【NEJM】家族性高カイロミクロン血症症候群に新規アンチセンス阻害薬が有効
Stroesらは、 家族性高カイロミクロン血症症候群の患者を対象に、 アポリポ蛋白C-III (APOC3) 生成阻害アンチセンスオリゴヌクレオチド薬olezarsenの有効性について、 第III相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験で検討した。 その結果、 olezarsenの80mg投与で血漿トリグリセリド (TG) 値を有意に低下させることが明らかとなった。 本研究はNEJM誌において発表された。

📘原著論文

Olezarsen, Acute Pancreatitis, and Familial Chylomicronemia Syndrome. N Engl J Med. 2024;390(19):1781-1792. PMID: 38587247

👨‍⚕HOKUTO監修医コメント

本研究名のBalance trialは臨床試験名としては人気のネーミングであり、 1970年代から使用されています。 ”Balance”という言葉をいかに医療者が大切にしてきたかが想像されます。

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Friedewaldの式

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求められる新規治療法の開発

家族性高カイロミクロン血症症候群 (FCS) は、 重篤な高TG血症と急性膵炎を伴う遺伝性疾患であり、 新たな治療法の開発が求められている。

olezarsenは80mg or 50mgで比較

対象

遺伝的に同定された家族性高カイロミクロン血症症候群患者 : 66例

介入

対象を以下の3群に1 : 1 : 1の割合で無作為に割り付けた。

  • olezarsen80mg群
  • olezarsen50mg群
  • プラセボ群
いずれも4週毎に49週間皮下投与

主要評価項目

  • ベースライン~6ヵ月後までの空腹時血漿TG値の変化率 (%) におけるolezarsen80mg群とプラセボ群との差
  • 同条件におけるolezarsen50mg群とプラセボ群との差
(1つ目の主要評価項目が有意であった場合に評価)

副次評価項目

  • APOC3値のベースラインからの平均変化率
  • 独立判定による急性膵炎のエピソード

80mg群で6ヵ月時点のTG値が減少

患者背景

  • ベースライン時の患者の平均血漿TG値 : 2,630±1,315mg/dL
  • 急性膵炎の既往割合 : 71%

主要評価項目

olezarsen80mg群 vs プラセボ群

6ヵ月時点での血漿TG値は有意に低下した。

-43.5%㌽(95%CI -69.1~-17.9%㌽)、 p<0.001

olezarsen50mg群 vs プラセボ群

6ヵ月時点での血漿TG値は低下しなかった。

-22.4%㌽ (同 -47.2-2.5%㌽)、 p=0.08

副次評価項目

APOC3値の平均変化率の差

  • olezarsen80mg群 : -73.7%㌽
(95%CI -94.6~-52.8%㌽)
  • olezarsen50mg群 : -65.5%㌽
(同 -82.6~-48.3%㌽)

急性膵炎発生率

53週までの急性膵炎発生率は、 プラセボ群で11件、 olezarsen80mg群とolezarsen50mg群で各1件に認められた。

発生率比 0.12 (95%CI 0.02-0.66) 

安全性評価

中等度の有害事象がolezarsen80mg群で4例に発現した。

新たな治療法の可能性

著者らは 「olezarsenは家族性高カイロミクロン血症症候群患者の血漿TG値を低下させる新たな治療法となりうる」 と報告した。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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