海外ジャーナルクラブ
6ヶ月前
Stroesらは、 家族性高カイロミクロン血症症候群の患者を対象に、 アポリポ蛋白C-III (APOC3) 生成阻害アンチセンスオリゴヌクレオチド薬olezarsenの有効性について、 第III相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験で検討した。 その結果、 olezarsenの80mg投与で血漿トリグリセリド (TG) 値を有意に低下させることが明らかとなった。 本研究はNEJM誌において発表された。
Olezarsen, Acute Pancreatitis, and Familial Chylomicronemia Syndrome. N Engl J Med. 2024;390(19):1781-1792. PMID: 38587247
本研究名のBalance trialは臨床試験名としては人気のネーミングであり、 1970年代から使用されています。 ”Balance”という言葉をいかに医療者が大切にしてきたかが想像されます。
急性膵炎の重症度判定基準
家族性高カイロミクロン血症症候群 (FCS) は、 重篤な高TG血症と急性膵炎を伴う遺伝性疾患であり、 新たな治療法の開発が求められている。
遺伝的に同定された家族性高カイロミクロン血症症候群患者 : 66例
対象を以下の3群に1 : 1 : 1の割合で無作為に割り付けた。
olezarsen80mg群 vs プラセボ群
6ヵ月時点での血漿TG値は有意に低下した。
-43.5%㌽(95%CI -69.1~-17.9%㌽)、 p<0.001
olezarsen50mg群 vs プラセボ群
6ヵ月時点での血漿TG値は低下しなかった。
-22.4%㌽ (同 -47.2-2.5%㌽)、 p=0.08
APOC3値の平均変化率の差
急性膵炎発生率
53週までの急性膵炎発生率は、 プラセボ群で11件、 olezarsen80mg群とolezarsen50mg群で各1件に認められた。
発生率比 0.12 (95%CI 0.02-0.66)
中等度の有害事象がolezarsen80mg群で4例に発現した。
著者らは 「olezarsenは家族性高カイロミクロン血症症候群患者の血漿TG値を低下させる新たな治療法となりうる」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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