【JAMA】重症アルコール性肝炎への抗菌薬予防投与で予後改善せず
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【JAMA】重症アルコール性肝炎への抗菌薬予防投与で予後改善せず

【JAMA】重症アルコール性肝炎への抗菌薬予防投与で予後改善せず
Louvetらは、 重症アルコール関連肝炎の患者を対象に、 アモキシシリン・クラブラン酸の有効性を多施設共同二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験で検討。 その結果、 アモキシシリン・クラブラン酸とプレドニゾロンの併用は、 プレドニゾロン単独と比較して60日生存率を改善しなかった。 本研究はJAMA誌において発表された。

📘原著論文

Effect of Prophylactic Antibiotics on Mortality in Severe Alcohol-Related Hepatitis: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2023 May 9;329(18):1558-1566. PMID: 37159035

👨‍⚕️監修医師のコメント

予防的抗菌薬投与してそれで安心、 というよりもまず重症アルコール性肝炎の入院患者には感染症を評価して、 感染症が特定されればしっかり治療することが重要、 ということでしょう。


背景

重症アルコール性肝炎の入院患者に対する予防的な抗菌薬投与の有益性は不明である。

研究デザイン

対象

重症アルコール関連肝炎 (マドレー機能スコア≧32、 MELDスコア≧21) の患者:292例

介入

患者を以下の2群に1:1でランダムに割り付け。

アモキシシリン・クラブラン酸+プレドニゾロン併用投与群:145例

プラセボ+プレドニゾロン併用投与群:147例

主要評価項目

  • 60日後の全死因死亡率

副次評価項目

  • 90日および180日時点の全死因死亡、 感染症の発症率
  • 肝腎症候群の発症率
  • 60日時点のMELDスコアが17未満の参加者の割合
  • 7日時点のLilleスコアが0.45未満の参加者の割合

研究結果

主要評価項目

60日後の死亡率に両群間の有意差はなかった。

  • アモキシシリン・クラブラン酸群:17.3%
  • プラセボ群:21.3%
群間差 -4.7%、 95%CI -14.0%-4.7%
HR 0.77、 95%CI 0.45-1.31、 P=0.33

副次評価項目

60日後の感染率は、 アモキシシリン・クラブラン酸塩群で有意に低かった。

  • アモキシシリン・クラブラン酸群:29.7%
  • プラセボ群:41.5%
平均差 -11.8%、 95%CI -23.0%--0.7%
サブHR 0.62、 95%CI 0.41-0.91、 P=0.02

残りの3つの副次評価項目には、 いずれも有意差はなかった。

最も多かった重篤な有害事象

肝不全

  • アモキシシリン・クラブラン酸群:25例
  • プラセボ群:20例

感染症

  • アモキシシリン・クラブラン酸群:23例
  • プラセボ群:46例

胃腸障害

  • アモキシシリン・クラブラン酸群:15例
  • プラセボ群:21例

結論

重症アルコール性肝炎で入院した患者において、 アモキシシリン・クラブラン酸とプレドニゾロンの併用は、 プレドニゾロン単独と比較して60日生存率を改善しなかった。 これらの結果は、 重症アルコール関連肝炎で入院した患者の生存率を改善するための予防的な抗菌薬の投与を支持するものではない。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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