インタビュー
12ヶ月前
「1年目から主治医として実践的なスキルが学べます」――。 平鹿総合病院 (秋田県横手市) の循環器内科診療部長・武田智先生はそう語ります。 今回は、 武田智先生と、 研修医2年目の宮地貴士先生に研修プログラムの特徴などについて聞きました。
平鹿総合病院は564床の急性期病院で、 地域の中核病院として『最後の砦』の役割を担っています。 救急車は年間約3100件を受け入れており、 約2400例の手術が行われています。 50年以上前から研修医の受け入れを開始し、 通算400名以上の研修医を育成しています。
ーー研修の特徴は。
武田先生「症例数の割に研修医の募集人数を少なく設定しており、 1人1人が豊富な症例を経験できます。 『やって覚える、 やって考える』をモットーに指導しています。 歴史ある田舎の病院ならではの特徴として『地域全体で研修医を育てる』という文化が根付いており、 患者さんやご家族も研修医の指導に協力的です」
武田先生「病院独自の研修マニュアルを作成している点が特徴です。 入院の適応などは教科書通りにいかないことも多々あります。 院内の個別的な事情も踏まえながら各分野の専門の先生が救急外来で研修医がやるべきこと、 入院の適応となる所見などを分かりやすくまとめています。 2年目からは夜間当直を一人で行いますがその際のバイブルです」
ーー研修によってどのような力が身につくか。
宮地先生「1年目から主治医として、 初期対応に関わることができ、 瞬発力が身につきます。 例えば、 循環器や外科で集中治療を受けている重症な患者さんに酸素化不良や尿量低下、 意識障害などの変化が生じた際、 看護師からまず研修医に電話が来ます。 限られた時間でアセスメントしプランを考え、 上級医に相談します」
ーー平鹿総合病院を研修先として選んだ理由は。
宮地先生「主治医として急性期治療はもちろんですが、 退院支援を含めた慢性期治療まで取り組めることに魅力を感じたからです。 病気を治すことのみに集中するのではなく、 患者さんの生活背景を踏まえて、 家族やコメディカルと相談しながら、 また、 かかりつけの先生たちとやり取りしながら治療方針を決めていきます。
ーー実際に入職して良かった点は。
宮地先生「全国的にも珍しいと思いますが、 研修室が医局の中にあり、 研修医と上級医が近い点です。 コンサルという形ではなく、 コーヒーを飲んでいる時に雑談しながら指導を受けられる環境は魅力的です。 普段はあまり関わらない科の先生とも交流でき、 大変勉強になります」
ーー都会の病院と異なる特徴は。
宮地先生「救急外来では夜間帯に研修医1人で対応することが多いです。 迷うケースも多々ありますが、 入院か外来フォローか、 帰宅可なのか、 意思決定をしなければなりません。 自分の判断で入院となった患者さんや翌日の専門外来受診を促した患者さんについて、 医局で専門の先生から気軽にフィードバックいただけるアットホームさが特徴的だと思います」
ーー医学生へメッセージを。
武田先生「平鹿総合病院の研修プログラムは実践型です。 症例経験も多く、 圧倒的なスピードで成長できます。 医師としてのスタートを切るには最適の環境だと思います。 まず見学に来て、 研修の雰囲気を感じてほしいです」
宮地先生「3年目以降に専門領域を極める前に、 幅広い疾患に関する治療や診断方法を学ぶことが大切です。 そのために、 各科の専門の先生から基本的な考え方を学ぶことが重要だと考えています。 研修医で学んだことは、 専門領域を深めていくなかで、 役に立つ引き出しになります。 ぜひ教科書では学べない経験を積んでください」
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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