【NEJM】リファンピシン耐性結核に対する経口レジメンの有効性を検証
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海外ジャーナルクラブ

3ヶ月前

【NEJM】リファンピシン耐性結核に対する経口レジメンの有効性を検証

【NEJM】リファンピシン耐性結核に対する経口レジメンの有効性を検証
Guglielmettiらは、 フルオロキノロン感受性リファンピシン耐性結核患者を対象に、 より短期間の全経口治療レジメンの有効性を、 第Ⅲ相非盲検非劣性無作為化比較試験で検討した。 その結果、 3種類のレジメンで非劣性が示された。 本研究はNEJM誌にて発表された。

📘原著論文

Oral Regimens for Rifampin-Resistant, Fluoroquinolone-Susceptible Tuberculosis. N Engl J Med. 2025 Jan 30;392(5):468-482. PMID: 39879593.

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

Modified intention-to-treat populationとper-protocol populationで治療効果が大きく異なっている点は注目です。


背景

リファンピシン耐性結核の治療レジメンは?

リファンピシン耐性結核の治療は、 長年にわたり有効な治療選択肢が乏しく、 質の低いエビデンスに基づいていた。

しかし、 新規抗結核薬の開発と研究資金の増加により、 短期全経口治療レジメンの無作為化比較試験が可能となった。

研究デザイン

5レジメンを標準治療群と比較

本研究では、 フルオロキノロン感受性のリファンピシン耐性結核に対し、 9ヵ月間の経口治療レジメンの有効性と安全性を評価。 従来の標準治療と5つの全経口レジメンを比較した。

登録患者は、 以下の5群もしくは標準治療群に割り付けられた。

  • BLMZ群
ベダキリン、 リネゾリド、 モキシフロキサシン、 ピラジナミド
  • BCLLfxZ群
ベダキリン、 クロファジミン、 リネゾリド、 レボフロキサシン、 ピラジナミド
  • BDLLfxZ群
ベダキリン、 デラマニド、 リネゾリド、 レボフロキサシン、 ピラジナミド
  • DCLLfxZ群
デラマニド、 クロファジミン、 リネゾリド、 レボフロキサシン、 ピラジナミド
  • DCMZ群
デラマニド、 クロファジミン、 モキシフロキサシン、 ピラジナミド

主要評価項目は、 73週時点での良好な転帰*で、 非劣性マージンは-12%㌽とした。

*2回の喀痰培養陰性または細菌学的、 臨床的、 放射線学的に良好な変化

結果

3レジメンで非劣性が示される

754例が無作為化され、 699例が修正intention-to-treat 解析に、 562例がper-protocol 解析に含まれた。

修正intention-to-treat解析では、 標準治療群で80.7%の患者が良好な転帰を示した。 修正intention-to-treat集団において、 4つのレジメンが標準治療群と比較して非劣性を示した。 リスク差を以下に示す。

  • BCLLfxZ群 : 9.8%㌽ (95%CI 0.9-18.7)
  • BLMZ群   : 8.3%㌽ (95%CI -0.8-17.4)
  • BDLLfxZ群 : 4.6%㌽ (95%CI -4.9-14.1)
  • DCMZ群  : 2.5%㌽ (95%CI -7.5-12.5)

per-protocol集団でも結果は類似していたが、 DCMZ群は非劣性を示さなかった。

これらの解析の結果、 リファンピシン耐性結核の治療において、 BCLLfxZ、 BLMZ、 BDLLfxZの3レジメンが標準治療に対して非劣性であることが支持された。

有害事象の発生率は類似

グレード3以上の有害事象の発生率は、 すべてのレジメンで類似していた。 グレード3以上の肝毒性イベントの発生率は全体で11.7%、 標準治療群で7.1%であった。


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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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