海外ジャーナルクラブ
30日前
Beaらは、 代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASLD) の患者を対象に、 SGLT2阻害薬の肝臓に対する効果をコホート研究で検討した。 その結果、 SGLT-2阻害薬はチアゾリジンジオンと比較し、 肝代償不全イベントのリスクを低減し、 GLP-1受容体作動薬と同等の効果を示すことが明らかとなった。 本研究は、 Gut誌において掲載された。
医療請求データベース研究のため、 糖尿病の罹患期間やHbA1c、 肝疾患の重症度は不明です。 この大きなlimitationのもと、 クリアな研究成果を眺める必要があります。
MASLDは肝不全や肝移植などの重大な肝イベントを引き起こすことが知られている。
本試験では、 SGLT2阻害薬、 GLP-1受容体作動薬、 チアゾリジンジオンが肝イベントリスクにどのように影響するか、 各薬剤の直接比較によって検証を行った。
2014~2022年の、 韓国の全国的な医療保険請求データベースを使用したコホート研究である。
40歳以上のMASLD患者で、 SGLT2阻害薬またはGLP-1受容体作動薬の投与を開始した患者2万2,550例*¹と、 SGLT2阻害薬またはチアゾリジンジオンの投与を開始した患者19万1,628例*²を組み入れ、 SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬、 SGLT2阻害薬とチアゾリジンジオンを直接比較した。
主要評価項目は、 肝代償不全イベント (腹水、 出血を伴う食道静脈瘤、 肝不全、 肝移植など) の複合とした。
SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の比較
肝代償不全イベントのリスクの有意差は見られなかった (HR 0.93、 95%CI 0.76-1.14)。
SGLT2阻害薬とチアゾリジンジオンの比較
SGLT2阻害薬はチアゾリジンジオンと比較して、 肝代償不全イベントのリスクを減少させた (HR 0.77、 95%CI 0.72-0.82)。
性別で層別化した解析でも、 SGLT2阻害薬はチアゾリジンジオンと比較して、 肝代償不全イベントのリスクを減少させた (男性 : HR 0.87、 95%CI 0.80-0.94、 女性 : HR 0.62、 95%CI 0.55-0.69)。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。