海外ジャーナルクラブ
4ヶ月前
Islamiらは、 米国における30歳以上の癌患者を対象に、 30種の癌種について潜在的に修正可能なリスク因子に起因する発症割合と死亡数を検討した。 その結果、 2019年に発生した癌罹患および死亡の多くが、 潜在的に修正可能なリスク因子に起因しており、 予防策を幅広く、 かつ公平に実施することにより、 癌の負担を大幅に軽減できる可能性があることが示された。 本研究はCA Cancer J Clin誌に発表された。
リスク因子として、 喫煙、 肥満、 飲酒に加えて紫外線と運動不足が上位に指摘されています。
2018年に著者らは、 2014年の米国における潜在的に修正可能なリスク因子に起因する癌の発症数と死亡割合の推定値を報告した。 しかし、 特定の癌種に関連するリスク因子やその関連性の大きさに関する情報は、 時間の経過とともに変化する可能性がある。
前回の報告以降、 いくつかの関連性について、 より正確な情報が得られるようになったことから、 今回新たに調査が実施された。
今回は、 最新のデータに基づいて、 2019年の米国における30歳以上の成人患者を対象に、 30の癌種について全体および潜在的に修正可能なリスク因子に起因する割合と死亡数を推定した。
調査するリスク因子として、 喫煙 (現在および過去)、 受動喫煙、 過体重、 飲酒、 赤肉および加工肉の摂取、 野菜や果物の摂取不足、 食物繊維およびカルシウムの摂取不足、 運動不足、 紫外線、 7つの発癌性感染症が設定された。
癌の罹患数と死亡数は、 全国を完全にカバーするデータソース、 全国調査によるリスク因子の有病率推定値、 および公表された大規模なプールまたはメタ解析による癌の関連相対リスクから得た。
2019年の米国における30歳以上の成人の全癌罹患数 (非悪性黒色種を除く) の40.0% (71万3,340例) および全癌死亡数の44.0% (26万2,120例) が評価されたリスク因子に起因すると推定された。
評価対象となった30種類の癌のうち19種類では、 癌罹患数および全癌死亡数の1/2以上が、 評価されたリスク因子に起因していた。
全癌の罹患数・死亡数に関連するリスク因子の第1位は喫煙 (それぞれ19.3%、 28.5%)、 第2位は体重過多 (それぞれ7.6%、 7.3%)、 第3位は飲酒 (それぞれ5.4%、 4.1%) であった。
評価されたリスク因子に起因する癌罹患数 (20万1,660例) および全癌死亡数 (12万2,740例) が最も多いのは肺癌であった。
評価されたリスク因子に起因する癌罹患数では女性の乳癌 (8万3,840例)、 皮膚黒色腫 (8万2,710例)、 大腸癌 (7万8,440例) が多く、 起因する死亡数では大腸癌 (2万5,800例)、 肝臓癌 (1万4,720例)、 食道癌 (1万3,600例) が多かった。
著者らは、 「米国における癌罹患および癌死亡の多くは、 修正可能なリスク因子に起因しており、 これらの因子をターゲットにした予防策を幅広く公平に実施することにより、 癌の負担を大幅に軽減する可能性がある」 と述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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