T0-T3、 N1/2、 M0の乳房原発腺癌の術後療法において、 ドキソルビシン (DXR) +シクロホスファミド (CPA) +パクリタキセル (PTX) の効果を、 投与間隔と投与順序の違いで比較した第Ⅲ相無作為化比較試験CALGB 9344の結果より、 3週毎レジメンと比較した2週毎投与レジメンの、 無病生存期間 (DFS) と全生存期間 (OS) に対する有効性が示された。
原著論文
▼解析結果
Randomized trial of dose-dense versus conventionally scheduled and sequential versus concurrent combination chemotherapy as postoperative adjuvant treatment of node-positive primary breast cancer: first report of Intergroup Trial C9741/Cancer and Leukemia Group B Trial 9741. J Clin Oncol. 2003 Apr 15;21(8):1431-9. PMID: 12668651
関連レジメン
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CALGB 9344試験の概要
対象
1次手術*後のT0-T3、 N1/2、 M0の乳房原発腺癌患者
*分割乳房切除術+腋窩郭清または切除断端に肉眼的・顕微鏡的浸潤のない修正根治的乳房切除術
方法
1,973例を以下の4群に1:1:1:1で割り付けた。
DXR60mg/m²を3週間毎に4サイクル→PTX175mg/m²を3週間毎に4サイクル→CPA600mg/m²を3週間毎に4サイクル投与
DXR60mg/m²を2週間毎に4サイクル→PTX175mg/m²を2週間毎に4サイクル→CPA600mg/m²を2週間毎に4サイクル。 各サイクルのday day3-10にフィルグラスチム5μg/kgを投与
DXR60mg/m²+CPA600mg/m2を3週間毎に4サイクル→PTX175mg/m²を3週間毎に4サイクル投与
DXR60mg/m²+CPA600mg/m2を2週間毎に4サイクル→PTX175mg/m²を2週間毎に4サイクル投与。 各サイクルのday3-10にフィルグラスチム5μg/kgを投与
評価項目
主要評価項目
DFS
副次評価項目
OS、 安全性
CALGB 9344試験の結果
患者背景
DFS
2週毎 (Ⅱ群+Ⅳ群) と3週毎 (Ⅰ群+Ⅲ群) の比較
HR 0.74 (95%CI 0.59-0.93)、 p=0.010
併用レジメンAC→T (Ⅲ群+Ⅳ群) と逐次レジメンA→T→C (Ⅰ群+Ⅱ群) の比較
HR 0.93 (95%CI 0.75-1.18)、 p=0.58
DFS率 (1年時、 2年時、 3年時、 4年時)
2週毎 (Ⅱ群+Ⅳ群) と3週毎 (Ⅰ群+Ⅲ群) の比較
- 2週毎 (Ⅱ群+Ⅳ群):97%、 91%、 85%、 82%
- 3週毎 (Ⅰ群+Ⅲ群):95%、 87%、 81%、 75%
OS
2週毎 (Ⅱ群+Ⅳ群) と3週毎 (Ⅰ群+Ⅲ群) の比較
HR 0.69 (95%CI 0.50-0.93)、 p=0.013
併用レジメンAC→T (Ⅲ群+Ⅳ群) と逐次レジメンA→T→C (Ⅰ群+Ⅱ群) の比較
HR 0.89 (95%CI 0.66-1.20)、 p=0.48
有害事象 (AE)
- 投与の遅れが生じたのは、 I群とⅡ群で7%、 III群とIV群はそれぞれ8%と6%であった。 原因は血液毒性で、 3週毎レジメンの38%に対し、 2週毎レジメンでは15%であった (p<0.0001) 。
- Grade4の顆粒球減少症 (<500/μL) は、 3週間毎レジメンでは2週毎レジメンに比べて頻度が高かった (33% vs 6%、 p<0.0001) 。
- Grade3以上の嘔吐は、 逐次レジメンよりも併用レジメンで有意に多かった (7% vs 3%、 p=0.0002) 。
著者らの結論
- 術後のT0-T3、 N1/2、 M0の乳房原発腺癌患者において、 2週毎レジメンは3週毎レジメンと比較し、 DFSとOSを有意に延長させることが示された。
- また逐次レジメン (A→T→C) は、 併用レジメン (AC→T) と同等に有効であることが示された。