海外ジャーナルクラブ
1年前
Chenらは、 癌症候群関連遺伝子の病原性または病原性の可能性が高い生殖細胞系列変異 (PGV) を有する膵管腺癌 (PDAC) 発端者の第1親等を対象に、 癌発症リスクを症例修正研究で検討。 その結果、 PDAC発端者における9つのがん症候群関連遺伝子のPGVの存在は、 第一親等における6種類の癌のリスク増加と関連することが明らかになった。 本研究はJAMA Oncol誌において発表された。
遺伝子検査によるリスク推定値はしばしばその範囲が広く、 家族歴や遺伝子変異のタイプなどの他の要因に基づいて個別化されることがないのが問題でした。 本研究成果がより焦点を絞ったリスク推定に寄与できると思います。
癌症候群関連遺伝子の病原性または病原性の可能性が高いPGVを有するPDAC患者の第一親等者における癌発症リスクの増加は、 カスケード遺伝学的検査を促すものである。 現在までのところ、 遺伝子特異的な癌発症に関するリスクの不偏推定値は評価されていない。
特定の癌症候群関連遺伝子に変異を有するPDAC発端者 (234例) とその第1親等者 (1,670例)
PDAC発端者には、 9つのがん症候群関連遺伝子の遺伝子検査が行われた。
標準化罹患日 (SIR) を用いて、 PGVを有するPDAC発端者の第1親等者におけるがんリスクを推定した。
BRCA1遺伝子 (SIR 9.49、 95%CI 3.06-22.14) およびBRCA2遺伝子 (SIR 3.72、 95%CI 1.36-8.11) の変異を有するPDAC発端者の女性の第1親等者において、 卵巣癌リスクが有意に高かった。
乳癌リスクはBRCA2遺伝子変異 (SIR 2.62、 95%CI 1.89-3.54) で高かった。
リンチ症候群ミスマッチ修復変異体を有するPDAC発端者の第1度近親者は子宮体癌または子宮内膜癌 (SIR 6.53、 95%CI 2.81-12.86) および大腸癌 (SIR 5.83、 95%CI 3.70-8.75) のリスクが高かった。
ATM (SIR、 4.53;95%CI、 2.69-7.16)、 BRCA2 (SIR、 3.45;95%CI、 1.72-6.17)、 CDKN2A (SIR、 7.38;95%CI、 3.18-14.54)、 PALB2 (SIR、 5.39;95%CI、 1.45-13.79) の変異を有する発端者の第1親等者はPDACのリスクが高かった。
CDKN2Aの変異を有する発端者の第1親等者は悪性黒色腫のリスクが高かった (SIR 7.47、 95%CI 3.97-12.77)。
PDAC発端者における9つのがん症候群関連遺伝子のPGVの存在は、 第一親等者における6種類の癌のリスク増加と関連することが明らかになった。 このような遺伝子特異的なPDACおよびPDAC以外の癌リスクは、 臨床医が遺伝子カスケード検査の関連性と重要性について第1親等者にカウンセリングを行い、 より高い検査受診率を目指す正当な根拠となりうる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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