海外ジャーナルクラブ
8ヶ月前
Schlapbachらは、 専門家らによる系統的レビューとメタ解析を基に、 修正デルファイ法によるコンセンサスプロセスを用いて、 小児の敗血症と敗血症性ショックに関する新たな国際的コンセンサス基準を策定した。 Phoenix Sepsis Scoreを用いることでその診断や治療が改善する可能性が示された。 本研究はJAMA誌において発表された。
小児敗血症基準が変わります。 実臨床だけでなく、 各科専門医試験などで必発です。 Phoenix Sepsis Score 2点以上が基準となります。 Table2に詳細が記載されていますが、 呼吸器、 循環器、 凝固、 神経系の各項目の合算で算出されます。
感染症が疑われる小児患者のうち、 呼吸器系、 循環器系、 凝固系、 神経系の機能障害を示すPhoenix Sepsis Scoreが2点以上
上記に該当する小児の院内死亡率は、 医療資源の豊富な環境で7.1%、 医療資源の少ない環境で28.5%であり、 これは上記基準を満たさない感染症疑い小児の8倍以上であった。
Phoenix Sepsis Scoreが2点以上の敗血症小児患者でかつ、 心血管系ポイントが1点以上*
上記に該当する小児の院内死亡率は、 医療資源の豊富な環境で10.8%、 医療資源の少ない環境では33.5%であった。
2016年のSepsis-3では、 敗血症を 「感染に対する宿主反応の調節障害によって引き起こされる生命を脅かす臓器機能障害」 と定義したが、 小児については対象から除外されていたため、 小児に特異的な敗血症の基準は2005年から改訂されないままであった。
救急医療、 感染症、 小児科、 看護、 公衆衛生、 新生児学の35人の専門家がタスクフォースとして招集され、 国際的な調査、 系統的レビュー、 メタ解析、 300万件を超える電子カルテデータの分析によって開発された臓器機能障害スコアから得られたエビデンスを基に、 修正デルファイ法によるコンセンサスプロセスを用いて新たな基準が作成された。
Phoenix Sepsis Scoreは、 大規模な国際的データベースと調査、 系統的レビューとメタ解析、 修正デルファイ法によるコンセンサスプロセスを用いて導き出され、 検証された。 Phoenix Sepsis Scoreが2点以上であれば、 18歳未満の小児の感染症患者において生命を脅かす可能性のある臓器機能障害が特定され、 その使用は、 世界中の小児の敗血症および敗血症性ショックの臨床ケア、 疫学的評価、 研究を改善する可能性がある。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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