海外ジャーナルクラブ
2年前
Siriwardenaらは, 急性膵炎患者を対象に, プロカルシトニン (PCT) 測定に基づくアルゴリズムによって, 抗菌薬の使用量を減らすことができるかを検討する単一施設患者盲検無作為化比較試験を実施した. その結果, PCTを指標とした治療は, 感染や有害事象を増加させることなく急性膵炎患者の抗菌薬の使用を減らすことができることが示唆された. 本研究は, Lancet Gastroenterol Hepatol誌において発表された.
PCTを基準にすると, 抗菌薬の総投与量を減らすことができそうですね. ただし, 重症膵炎で厄介なのが 「深部膿瘍」へと進展してしまったケースです. PCT negativeでは感染を否定しきれない症例に出くわすことがありますね.
急性膵炎患者において 「炎症」 と 「細菌感染」 との鑑別は困難である. プロカルシトニン(PCT)は感染と炎症を区別することができ, PCT測定に基づくアルゴリズムは細菌性敗血症と全身性炎症反応を区別することができることが知られている.
急性膵炎の診断を受けた18歳以上の患者を以下の2群に無作為に割り付け.
Day 0,4,7にPCTを測定. その後毎週実施.
※介入群は, 臨床判断で抗菌薬を使用し, 抗菌薬加療以外は両群とも標準的な治療を行った.
主要評価項目:入院中の抗菌薬使用.
抗菌薬処方は、 PCTを指標とした治療で45% (59例), 通常治療で63% (79例)であった.
調整リスク差 -15.6%, 95%CI -27.0~-4.2, p=0.0071
両群間で感染率や有害事象についての有意差はなかった. PCT誘導治療群では4例, 通常治療群では3例が死亡したが, 死亡はすべて重症膵炎に関連したものであった.
PCTを指標とした治療は, 急性膵炎患者において感染や有害事象を増加させることなく抗生物質の使用を減らすことができることが示唆された. PCTを用いた抗生剤使用量の目安は, このグループの患者の治療で考慮されるべきであり, 急性膵炎の管理に関する将来のガイドラインに組み込まれるべきである.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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