海外ジャーナルクラブ
2年前
Rosas-Salazarらは、 米国テネシー州の小児科診療所において2012年または2013年の6~12月に出生した健常児を対象に、 乳児期のRSウイルス (RSV) 感染と小児喘息発症の関連を前向き出生コホート研究で検討。 その結果、 生後1年間以内にRSVに感染していないことは、 小児喘息の発症リスクを大幅に低減させることと関連していた。 本研究はLancet誌において発表された。
この研究がLancet誌に掲載されているのは政治的な意味合いがあります。 FDAが2023年秋にRSウイルスワクチンを承認する根拠の1つになる論文の位置付けだと思われます。 論文の解釈のところには、 因果関係を証明するには今後の研究が必要と明確に記載されていますので注意が必要です。
【Lancet】5歳未満児、 死亡の2.0%がRSウイルスに起因することが判明
早期の重症RSV感染は小児期の喘息疾患の発症と関連しているが、 乳児期のRSV感染と小児喘息の発症との関連は不明である。
米国テネシー州の小児科診療所において2012年または2013年の6~12月に出生した健常児。
曝露
生後1年間のRSV感染状況 (感染の有無) を、 分子および血清学的手法によるウイルス同定を伴う受動的・能動的サーベイランスを併用して確認。
5歳時点の小児喘息の割合。
乳児期にRSVに感染していないことは,感染あり群よりも,5歳時点の小児喘息のリスクを26%低下させることと関連していた。
乳児期のRSV感染を回避することで予防できる5歳時点の小児喘息の推定割合は15% (95%CI 2.2-26.8%) であった。
正期産の健康な子どもにおいて、 生後1年間にRSVに感染していないことは小児喘息の発症リスクを大幅に低減させることと関連していた。 今回の結果は、 乳児期のRSV感染と小児喘息との間に年齢依存的な関連があることを示唆している。 しかし、 因果関係を明確に立証するためには、 最初のRSV感染を予防、 遅延、 または重症度を低下させる介入が小児喘息に及ぼす影響を調査する必要がある。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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