海外ジャーナルクラブ
1年前
Koosheshらは、 胸腺摘出を受けた患者と胸部手術は受けたものの胸腺の摘出は行わなかった対照群の転帰を症例対照研究で検討。 その結果、 胸腺摘出を受けた患者では全死因死亡率および癌のリスクが対照群より高く、 術前に感染症、 癌、 自己免疫疾患の既往がある患者を除外した場合、 自己免疫疾患のリスクも増加することが示唆された。 本研究はNEJMにおいて発表された。
テキストの結論にはThese results strongly suggest that when possible, preservation of the thymus should be a clinical priority.と記載されていますが、 そもそも不必要な (予防的な) 成人における胸腺摘出は実臨床ではあまり行われていないように思います ( 脾臓や虫垂は予防的に切除されていたことがあること思います )。
成人の健康における胸腺の機能は明確ではなく、 多くの外科手術での胸腺摘出が行われている。
患者を以下の群に割り付け。
90日以内に死亡した患者や、 5年以内に再手術を受けた患者は除外。
自己免疫疾患のリスクは、 主要コホート全体では群間で大きな差はなかった。
術前に感染症、 癌、 自己免疫疾患を有する患者を解析から除外すると、 発症率に有意差が認められた。
マッチするペアが見つからなかった患者も含めた全患者を、 年齢、 年度、 居住州などで調整した米国一般母集団と比較しても、 胸腺摘出群において全死因死亡率 ( 9.0% vs 5.2% ) および癌による死亡率 ( 2.3% vs 1.5% ) が高かった。
T細胞産生および血漿中サイトカインレベルが測定された患者のサブグループ解析の結果、 胸腺摘出群では、 CD4+およびCD8+リンパ球の新生能が対照群より少なかった。
CD4+T細胞由来のsjTREC数
CD8+T細胞由来のsjTREC数
血液中の炎症誘発性サイトカインのレベルも高かった。
胸腺摘出を受けた患者では全死因死亡率およびがんのリスクが対照群より高く、 術前に感染症、 癌、 自己免疫疾患の既往がある患者を除外した場合、 自己免疫疾患のリスクも増加することが示唆された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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