海外ジャーナルクラブ
11ヶ月前

Fizaziらは、 アンドロゲン受容体経路阻害薬 (ARPI) 不応でタキサン系抗癌薬の治療歴がない前立腺特異的膜抗原 (PSMA) 陽性の転移性去勢抵抗性前立腺癌 (mCRPC) 患者を対象に、 放射性リガンド療法[¹⁷⁷Lu] Lu-PSMA-617 (177Lu-PSMA-617) が健康関連QOL、 疼痛、 症候性骨格イベント (SSE) に及ぼす影響を海外多施設共同第III相非盲検無作為化比較試験PSMAforeの中間解析で比較した。 その結果、 177Lu-PSMA-617群では、 ARPI変更群と比べて健康関連QOLおよび疼痛の悪化が遅延し、 SSEの発現も予防される可能性が示唆された。 試験結果はLancet Oncol誌に発表された。
病勢進行後や治療中止後のQOLおよび疼痛に対する影響は評価されておらず、 また患者報告アウトカム質問票の未回答理由も収集されていないため、 健康関連QOLが低下した患者が質問票に回答できなかった可能性があります。
mCRPCへの177Lu-PSMA-617でrPFS改善 : 第Ⅲ相PSMAfore
14ヵ国74施設で実施されたPSMAfore試験の対象は、 以下の組み入れ基準を満たした18歳以上のPSMA陽性mCRPC患者。 主要評価項目である画像上の無増悪生存期間 (rPFS) において、 177Lu-PSMA-617群は、 ARPIを変更する場合 (ARPI変更群) と比べて有意に改善したことが既に報告されている (上記の関連コンテンツ参照)。
そこで今回、 同試験の第3回中間解析での全生存期間 (OS) のデータを用いて、 健康関連QOLと疼痛が悪化するまでの期間および症候性骨格関連の無イベント生存期間 (SSE-FS) を評価した。
同試験の参加患者468例が以下の2群に1 : 1で割り付けられた。
主要評価項目は、 上述のとおり既に報告済みであるrPFSであった。
副次評価項目は、 患者報告アウトカム (PRO) である健康関連QOL (FACT-PおよびEQ-5D-5Lを用いて評価) と疼痛 (BPI-SFを用いて評価) が悪化するまでの期間、 およびSSE-FSであった。
すべての解析はITT (intention-to-treat) 集団を対象に実施された。
対象468例のうち91%が白人、 3%が黒人またはアフリカ系アメリカ人であった。
第3回中間解析データカットオフ日 (2024年2月27日) までの追跡期間中央値は、 177Lu-PSMA-617群で24.11ヵ月 (四分位範囲 [IQR] 20.24-27.60ヵ月)、 ARPI変更群で24.13ヵ月 (IQR 20.24-27.37ヵ月) であった。
FACT-P、 EQ-5D-5L、 BPI-SFのすべてのスケールおよびサブスケールにおいて、 177Lu-PSMA-617群はARPI変更群と比べて悪化までの時間を遅延させた。
FACT-P総スコア悪化までの期間中央値
7.46ヵ月 (95%CI 6.08-8.54ヵ月) vs 4.27ヵ月 (同 3.45-4.50ヵ月)
HR 0.61 (95%CI 0.50-0.75)
EQ-5D-5Lユーティリティスコア悪化までの期間中央値
6.28ヵ月 (95%CI 4.70-7.89ヵ月) vs 3.88ヵ月 (同 3.25-4.44ヵ月)
HR 0.67 (95%CI 0.54-0.82)
BPI-SFによる疼痛強度悪化までの期間中央値
5.03ヵ月 (95%CI 4.40-6.80ヵ月) vs 3.65ヵ月 (同 3.09-4.37ヵ月)
HR 0.72 (95%CI 0.59-0.88)
このほか、 SSE-FS中央値は、 177Lu-PSMA-617群が未到達 (95%CI 算出不能) で、 ARPI変更群の17.97ヵ月 (14.26ヵ月-NE) と比べて遅延した (HR 0.41 [95%CI 0.26-0.63])
Grade 3以上で最も多く発現した治療中の有害事象 (TEAE) は貧血であり、 177Lu-PSMA-617群では6%、 ARPI変更群では7%であった。
治療関連の死亡は、 ARPI変更群から脳卒中による死亡が1例報告された。
著者らは 「ARPI不応でタキサン系抗癌剤の治療歴がないPSMA陽性mCRPCで、 177Lu-PSMA-617はARPIの変更と比べてPROの悪化を遅延させ、 SSEを予防する可能性がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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