海外ジャーナルクラブ
2年前
Puntらは、 転移性大腸癌 (CRC) 患者を対象に、 経口フルオロピリミジン (FP) であるS-1の使用に関する推奨事項を検討。 結果、 手足症候群 (HFS) や心血管毒性 (CVT) により他のFP治療が継続できない場合、 S-1への切り替えが推奨されるとの提言がなされた。 本研究はESMO Openにおいて発表された。
本邦の製薬メーカーで創薬されたS-1がヨーロッパで転移性大腸癌で手足症候群や心血管毒性により他のFP治療が継続できない場合に推奨された、 という内容です。 Fundingのところに本薬剤のヨーロッパでの販売メーカーが記載されていますが、 日本であれば著者グループが無理してでもどこからのサポートなしでこの推奨を作成したと思われます。 実際はこの推奨を作成するにあたってさまざまな諸費用が発生するわけで、 どこかからかFundingのサポートがないとできない、 というのは今後は理解されると思います。
FPは、 転移性CRCの治療において重要な薬剤であり、 経口FPであるS-1は、 HFSやCVTが問題となる患者の治療として欧州医薬品庁に承認されている。 しかし、 日常診療での使用に関する推奨事項はない。
転移性大腸癌患者
HFSまたはCVTを理由に5-フルオロウラシル (5-FU) またはカペシタビンからS-1に切り替えた場合の査読済み公開データに基づいて、 使用の推奨事項を策定。
カペシタビン/5-FUによる治療中にHFSによる疼痛や機能障害が生じた場合、 カペシタビン/5-FUを事前に減量せずにS-1へ切り替えることが推奨される。
S-1は、 HFSがグレード≦1まで低下した時点で、 全量で開始することが望ましい。
CVTを有する患者で、 カペシタビンまたは5-FUとの関連性が否定できない場合は、 カペシタビン/5-FUを中止し、 S-1への切り替えることが推奨される。
これらの推奨事項は、 転移性CRC患者に対するFP含有レジメンによる治療において、 臨床医の日常診療の指針となるものである。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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