医師大学院の実態をデータを元に解説
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6ヶ月前

医師大学院の実態をデータを元に解説

医師大学院の実態をデータを元に解説
こんにちは、 医局ウォッチャーこと、 コアライ ミナトです。 連載13回目のテーマは 「医師大学院の実態」 です。

研究に使える時間は半分弱?

文部科学省が2024年3月に開催した 「今後の医学教育の在り方に関する検討会」 で、 医師の大学院について興味深い討論が行われました。 資料はコチラです。

医師大学院の実態をデータを元に解説
【図1】文科省の検討会資料より

【図1】は大学院生がどのように時間を使っているか、 を示すデータです。 臨床医学系に注目してみましょう。

ブルーの 「自身の論文作成を目的とした研究活動」 が、 院生の本分である研究時間。 オレンジの 「自身の論文作成を目的としない~」 は微妙なところで、 経験上 「作業的、 雑用的に他人の研究を手伝っている時間」 もかなりあるでしょう。

グレーの 「研究活動以外~」 は、 大学生の教育や学会の準備・運営、 飲み会の幹事などが思い浮かびます。 イエローの学外労働は生活のためのアルバイトでしょう。 週1~2日と考えると、 ちょうど一致します。

医師大学院の実態をデータを元に解説
写真はイメージです

気になるのは、 「大学病院での業務がどこに含まれているのか」 です。 大学院生は一定期間、 病院業務を手伝うのが一般的です。 このように考えると、 院生が純粋な研究に使える時間は、 良くて半分、 実際は1/3くらいなのでしょう。

ストレートに卒業できる人は半分

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【図2】文科省の検討会資料より

次に、 「正規の年限で卒業できるのは半分」 とのデータが示されました【図2】。 スモールサンプルではありますが、 僕の体感とも合致します。

これは厳しい実態ですよね。 院生が高い目標をもって、 自らの意志で引き伸ばしているのならば問題はありませんが、

  • 成果を大きくするため、 労働力を確保するためになかなか卒業させない
  • 研究以外の業務で忙殺されてしまう

ということであれば、 由々しき事態です。 「この成果は少し寝かせておいて、 次はこれをやってみなさい」 という言葉、 聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

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写真はイメージです

大学ごとの卒業難易度に、 一定の傾向がありそうなのも気になるところです。

大学院は医局人事

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【図3】文科省の検討会資料より

検討会の資料には、 「医学系研究科大学院の定員充足はその6~7割を臨床系の大学院生 (医局人事) で充足している現状」 という文章がありました【図3】。 大学院=医局人事と公の資料に明記されるのは驚きです。 僕自身、 説明するときには 「医局人事的な側面もある、 多少の強制力はありそう」 程度の表現にとどめていたのですが。

「充足している」 という表現も直接的です。 確かに入学料は約30万円、 学費は約50万円/年が相場なので、 大学の大きな収入源です。 それにプラスして、 労働力にまでなってくれるわけなので。

医師大学院の実態をデータを元に解説

まとめ

医師大学院の現状について、 データをもとに解説しました。 僕自身は、 大学院時代に学んだことが仕事に結びつく機会が多く、 博士号を取ってよかったと感じます。 親切な指導医のおかげもあり、 正規の年限で卒業することもできました。

ただ一般的な傾向として、 コストが高くつく場合も多いようです。 参考になりましたら幸いです。 今回は以上です。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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