HOKUTO編集部
4日前
国立がん研究センターは4月25日、 「有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン」 2025年度版を同センターの公式サイトで公開した。 同ガイドラインの改訂は旧版の2006年版公開後、 およそ18年ぶり。 新たな研究の科学的根拠が検証され、 提言としてまとめられている。
低線量CT検査による肺癌検診については、 旧版である2006年度版の公開時は関連する無作為化比較試験 (RCT) が開始されたばかりの時期であり、 有効性を判断する証拠がなかったことから 「推奨グレードⅠ」 とされた。
その後、 重喫煙者に対するRCTの結果が公表され、 欧米では低線量CT検査による肺癌検診が導入された一方で、 本邦では国の指針に基づかない検診という形で低線量CT検査が行われてきた。 厚生労働省の全国調査によると約14%の市区町村で認められ、 対象者や撮影線量などを統一した方式が定められておらず、 過剰診断などの不利益が懸念されてきた。
そこで2025年度版では、 低線量CTの有効性評価が行われ、 同時にこれまで本邦で行ってきた胸部X線検査と重喫煙者に対する胸部X線検査と喀痰細胞診併用法についても再検討された。 推奨グレードは利益と不利益の対比を行って決定された。
2025年版で示された各項目と推奨は以下のとおり。
①重喫煙者に対する低線量CT検査 (推奨グレードA)
低線量CT検査の推奨グレードは喫煙状況により異なり、 重喫煙者 (喫煙指数600以上) においては、 推奨グレードAで対策型検診及び任意型検診として実施 (対象年齢は50-74歳、 検診間隔は1年に1回) を推奨する。
②重喫煙者以外に対する低線量CT検査 (推奨グレードI)
重喫煙者以外の方に対する低線量CT検査は推奨グレードIで、 対策型検診として実施しないことを推奨する。 任意型検診においては、 医療者が利益と不利益に関する適切な情報を提供したうえで、 検診受診者個人の判断に委ねる。 喫煙状況や対象年齢を遵守しない場合、 低線量CT検査の不利益は大きくなる。
③胸部X線検査 (推奨グレードA)
胸部X線検査は喫煙状況にかかわらず推奨グレードA (対象年齢は40-79歳、 検診間隔は1年に1回)。
④重喫煙者に対する胸部X線検査と喀痰細胞診併用法 (推奨グレードD)
重喫煙者に対する胸部X線と喀痰細胞診併用法は推奨グレードDで、 対策型検診として実施しないことを勧める。
なお、 各推奨グレードの定義は以下とされている。
「有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン」 2025年度版を閲覧する
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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