HOKUTO編集部
1年前
解説:赤松弘朗先生¹⁾ / 監修:津谷康大先生²⁾
免疫チェックポイント阻害剤 (ICI) が導入される前後で状況は異なってきている。
ICI以前では、 カルボプラチン (CBDCA) を用いた術後補助化学療法でpositive studyが存在しなかったため、 シスプラチン (CDDP) を用いることが標準であった (=CDDPが使用できない患者には原則術後補助化学療法は用いない)。
IMpower010試験によってアテゾリズマブを用いた術後補助化学療法の有効性がPD-L1≥1%に対して示された。
この試験は以下の群を対象としている。
● 完全切除の非小細胞肺癌 (NSCLC)
● CDDPを用いた術後補助化学療法を行った者
📊IMpower010試験
腫瘍細胞でPD-L1が1%以上発現しているⅡ期~ⅢA期の患者において、 臨床病期や前治療の種類によらず、 アテゾリズマブによる術後補助療法がDFSを改善することが示された。 特に、 腫瘍細胞でPD-L1が1%以上発現しているⅡ期~ⅢA期のNSCLCにおいては、 再発部位が局所および遠隔のいずれにおいても、 支持療法 (BSC) と比較して再発までの期間を改善し、 再発部位での明確な違いがないことが示された。
正解は3。 ただし最適化使用推進ガイドライン³⁾では「プラチナ製剤を含む」ものを対象としており、 実質CBDCAを許容している事になる。 このような集団に対するIMpower010の有効性は厳密には乏しい。 「(特にPD-L1≥50%に対して) Key drugはICIなので積極的に使用すべき」という意見と「CDDPを投与できない患者は何らかの臨床的問題点を有する事が多く、 このような対象へのICIの有効性は不明」という意見があり、 賛否の分かれる状況である。
エビデンスレベルの高いものは3である。 術後プラチナ併用化学療法はCDDP併用のエビデンスレベルが高いが、 カルボプラチン + パクリタキセルを使用した術後補助化学療法の第3相試験も過去には行われており、 CBDCA併用化学療法も実行可能と考えられる⁴⁾⁵⁾。 日常臨床においては、 何らかの理由でCDDPを投与しにくい患者に対してCBDCA併用化学療法施行後にアテゾリズマブを投与するという選択肢もあり得ると思われるが、 その安全性や有効性は今後充分に検討される必要がある。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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