海外ジャーナルクラブ
2年前
Nagaseらは、 吸入ステロイド薬 (ICS) と長時間作用性β₂刺激薬 (LABA) の配合薬 (ICS/LABA) を服用する喘息患者を対象に、 喘息が健康関連QOLや労働生産性に与える影響を横断的混合研究で検討。 その結果、 ICS/LABAで喘息コントロールが不十分・不良な患者が45.2%存在し、 そのような患者では、 健康関連QOL (HRQoL) が有意に低下していた。 本研究はAdv Ther誌において発表された。
解析対象患者数454名のほぼ2倍の892名の患者がアンケート記載なしか丁寧に記載していないということで除外されています。 これが本研究の大きなlimitationであり、 一部の特定の群を解析した結果の可能性が高くなります。
日本では、 喘息コントロールとHRQoL、 労働生産性との多面的な関係に関する情報は限られている。 さらに、 喘息に伴う負担に関する系統的な質的調査は行われていない。
ICS/LABAを4週間以上使用し、 アドヒアランスが良好であった20歳以上の喘息患者:454例
Asthma Health Questionnaire-33 (AHQ-33) に基づく健康関連QOL
日本語版レスター咳質問票 (J-LCQ) による咳嗽の重症度およびWork Productivity and Activity Impairment Questionnaire (WPAI) -asthmaに基づく労働生産性
対象患者の45.2% (454例中205例) が喘息コントロール不十分・不良であった。
コントロール不十分・不良の患者はコントロール良好な患者に比べ、 AHQ-33のスコアが有意に悪化していた。
p<0.0001
J-LCQの咳嗽の重症度もコントロール不十分・不良群で有意に高かった
p<0.0001
AHQ-33の合計スコアとJ-LCQの合計スコアは強い相関を示しており (r=-0.8132)、 咳嗽がHRQoLに大きく影響していることが示唆された。
WPAI-asthmaでは、 労働生産性に関するいずれの項目においても、 コントロール不十分・不良群はコントロール良好群に比べて有意に悪化していた (p<0.0001)。
喘息コントロール不十分・不良である喘息患者は、 コントロール良好患者と比べて、 健康関連QOLと労働生産性が有意に損なわれていた。また咳嗽症状とHRQoL低下に相関が認められたことから、 咳嗽は喘息患者の治療戦略を考える上での重要な指標となる可能性が示された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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