海外ジャーナルクラブ
1年前
Chenらは、 Helicobacter pylori(H. pylori)感染症患者を対象に、 1次治療および3次治療における分子検査に基づくH. pylori感染症治療の有効性と安全性を2件の多施設非盲検無作為化試験で検討。 その結果、 分子検査に基づく治療は感受性検査に基づく治療に比べ、 1次治療において同等であり、 3次治療においても非劣性であることが明らかになった。 本研究はLancet Gastroenterol Hepatol誌において発表された。
台湾からの2つのRCTを1つにまとめた形での報告です。 介入の詳細がわかりにくいので試験1の介入をお示しします。 (A) Genotypic resistance guided therapy: In the absence of 23S rRNA mutation, clarithromycin based sequential therapy will be given. In the presence of 23S rRAN mutation but the absence of gyrase A mutation, levofloxacin based sequential therapy will be given. In the presence of both 23S rRNA and gyrase A mutations or if genotyping fails, bismuth quadruple therapy will be given. (B) Susceptibility testing guided therapy: In the absence of clarithromycin resistance, clarithromycin based sequential therapy will be given. In the presence of clarithromycin resistance but the absence of levofloxacin resistance, levofloxacin based sequential therapy will be given. In the presence of both clarithromycin and levofloxacin resistance or if culture fails, bismuth quadruple therapy will be given.
H. pylori感染は胃癌や消化性潰瘍疾患の重要な原因因子であり、 免疫性血小板減少性紫斑病や機能性ディスペプシアとも関連している。 H. pyloriでは、 23S rRNA遺伝子とgyrA遺伝子の点変異が、 それぞれクラリスロマイシン耐性とレボフロキサシン耐性に関連している。 H. pylori除菌において、 分子検査に基づく治療が感受性検査に基づく治療に劣らないかどうかは不明である。
患者は以下の群に1:1の割合で無作為に割り付け
intention-to-treat解析による除菌率
intention-to-treat解析により、1次治療では、 分子検査ガイド療法群では86% (280例中241例、 95%CI 82-90)、 感受性検査ガイド療法群では87% (280例中243例、 95%CI 83-91) で感染の消失が確認された (P=0.81)。
intention-to-treat解析により、3次治療では、分子検査誘導群88% (160例中141例、 95%CI 83-93例) 、感受性検査誘導群87% (160例中139例,95%CI 82-92例) で感染の消失が確認された (P=0.74)。
有害事象については、 試験1、 試験2ともに両群間に差は認められなかった。
分子検査に基づく治療は、H. pylori感染症の1次治療において感受性検査に基づく治療と同等であり、 3次治療においても感受性検査に基づく治療に対し非劣性であったことから、 H. pylori除菌における分子検査ガイド療法の使用が支持される。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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