海外ジャーナルクラブ
1年前
Neilanらは、 アントラサイクリン系薬剤ベースの化学療法が予定されているリンパ腫患者を対象に、 HMG-CoA還元酵素阻害薬アトルバスタチンがアントラサイクリン系薬剤に関連する心機能障害の減少に関係するかを二重盲検ランダム化臨床試験STOP-CAで検討。 その結果、 アトルバスタチンがプラセボと比較し、 アントラサイクリン系薬剤関連の心機能障害を有意に抑制したことが示された。 本研究はJAMA誌において発表された。
LVEFで言うと、 アトルバスタチン群が平均4.1%の減少に対して、 対照群は5.4%の減少です。 主要評価項目では絶対的な有意差となっていますが、 直接値では臨床的な有意な差と言えるか微妙です。
アントラサイクリン系薬剤は多くの癌治療に使用されている。 過去の研究により、 アトルバスタチンがアントラサイクリン系薬剤による心機能障害のリスクを軽減する可能性が示唆されている。
新規に診断されたリンパ腫で、 アントラサイクリン系薬剤ベースの化学療法が予定されている患者:300例
患者を以下の2群に1:1で無作為に割り付け
左室駆出率 (LVEF) が化学療法前の値から絶対値で10%以上低下し、 12カ月後の最終値が55%未満となった患者の割合
LVEFが5%以上低下し、 最終値が55%未満の患者の割合
主要評価項目発生のオッズ比はプラセボ群において、 約3倍高かった(OR 2.9、 95%CI 1.4-6.4)。
副次評価項目の発生率もアトルバスタチン群で有意に低かった (P=0.001)。
24ヵ月の追跡期間中に13例 (4%) の心不全イベントが発生した。 これに関しては両群間に有意差は認められなかった (P=0.26)。
アトルバスタチンは、 アントラサイクリン系薬剤による心機能障害のリスクが高いリンパ腫患者で心機能障害の発生率を低下させた。 本研究の知見は、 該当するリンパ腫患者におけるアトルバスタチンの使用を支持する可能性を示している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。