海外ジャーナルクラブ
2年前
Chenらは、 204カ国と地域を対象に、 29種のがんの経済的費用について、 意思決定分析モデルを基に推定。 その結果、 20~2050年のグローバルながんの経済的費用は、 25.2兆ドルであり、 これは世界の国内総生産に対する年間0.55%の課税に相当することが明らかとなった。 本研究は、 JAMA Oncology誌において発表された。
がん治療薬の開発がものすごいスピードで進んでおり、 生存率が改善しています。 それと並行して、 治療抵抗性の患者群に対してもより強力な治療法が開発され、 また治療に伴う副反応に対しても治療以上のコストが必要になります。 がんの治療薬負担を抑制する世界的な取り組みは正当化されると思います。
がんは死亡の主な原因であり、 世界中で年間約1,000万人が死亡している。 がんは各国の経済成長にも悪影響を及ぼすが、 がんの世界的な経済コストやその世界的な分布については、 まだ研究されていない。
マクロ経済モデルを用いて、 以下について検討した。
国・地域間の29のがんの経済的費用。
2020年から2050年までのがんの推定経済的費用は、 国際ドルで25.2兆ドル (2017年の恒常価格で)、 世界の国内総生産に対する年間0.55%の課税に相当するものであった。
がんの経済的費用は、 中国と米国が絶対額で最も大きく、 それぞれ世界の総負担額の24.1%と20.8%を占めていた。
がんによる死亡の75.1%は低・中所得国で発生していますが、 がんの経済的費用に占める割合は49.5%と低くなっていた。 がんの経済的費用全体に占める治療費の相対的な寄与は、 低所得国よりも高所得国で大きい。
この研究では、 がんのマクロ経済コストは相当なものであり、 がんの種類、 国、 世界地域によって不均一に分布していることが明らかになった。 この結果は、 現在進行中のがんの負担を抑制するための世界的な取り組みが正当化されることを示唆している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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